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おしゃれプロが推しの古着屋を紹介する連載。今回はスタイリストアシスタントの竹前悠大さんが、池ノ上の新進古着店フリーを紹介してくれた。「インスタのコメントに熱さを感じた」との言葉通り、物静かな店主の解説が胸に刺さる!
今回のお店を訪ねたのは…
イタリア古着とテーラードアイテムに
力を入れた独自のセレクトが光る
池ノ上 FOLLIEE.(フリー)
SHOP PROFILE
池ノ上の駅から徒歩1分ほど。下北沢からも徒歩10分圏内の商店街に忽然と現れるロッジ風の建物が古着店、フリーだ。2022年11月にオープンして、イタリア古着やテーラードアイテムが充実していることから、デザイナーなどファション業界の関係者にも注目される古着店に。
フリーのオーナー、末永竜介さんは地元仙台の大学を卒業後、都内の古着卸会社で4年間バイヤーを経験。コロナ禍のタイミングで実家のラーメンをサポートするために仙台に戻り、家業を手伝いながら出店のための資金を貯めた。
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もともとは末永さんが上京したときに住んでいた東京の東側、職人街で物件を探していたがなかなか見つからず、池ノ上にこの一戸建てが出て気に入ったので出店することに決めた。
2階建てながら店舗面積はトータルで30㎡ほどとコンパクト。入口はガラス張りで、店内にぎっしりと古着が並んでいるのが、外からも見える。看板がわりのウッドのオブジェと、ガラス戸に手書きされた「FOLLIEE. フリー OPEN」の文字が目印。
ちなみに「FOLLIEE.」は末永さんがつくった造語。その意味はぜひ店で、パリのカルチャー誌に掲載されたエピソードとともに末永さんに訊いてほしい。
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シャッターの柱には「多分 古着屋?」とこれまた手書き文字があり、何やらあやしい雰囲気が。末永さんの“ハンドメイド”の気配が、そこ、ここに散見する。
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1階の店内は両サイドにラックが置かれ、アウター、ニット、パンツなど大まかなジャンルに分かれている。正面奥にレジカウンターがあり、壁に斜めに飾られたアートが、またフリーの独特な雰囲気を拡散する。センターにはテーブルが置かれ、お客さんとじっくり話をするための椅子も用意されている。
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商品は年に1回、末永さんがアメリカで買い付けるほか、ヨーロッパの現地バイヤーからリモートでの買い付けを行って、幅を持たせている。ノンジャンルを掲げつつ、末永さんがイタリアのサルトリアやカジュアルラインに注目していることからイタリアものと、日本のデザイナーズを含めテーラード系のアイテムが目立つ。
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店内のところどころにウッドやオブジェが一見、無造作に置かれ、どこかインスタレーションのようでもあり。カウンターには商品なのか、非売品なのかもわからないアクセサリー類も。
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シューズもラインナップしているが、スニーカーはなく、スリッポンからブーツまで、フリーの古着に合うレザーシューズが並ぶ。
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入口左手の階段を上がった2階にも同じようにアウター、パンツ、ニットなど、すべてのジャンルの古着が4面のラックに。1階がドレッシーなのに対し、2階はカジュアルなアイテムが多いような印象。末永さんによると商品はフィーリングで1階と2階に分け、「2階のほうが買いやすい値段のものが多いかもしません」とのこと。
池ノ上 FOLLIEE.(フリー)
STAFF PROFILE
オーナーの末永さんは現在31歳。地元仙台で中学時代から古着にハマり、古着屋めぐりを楽しんでいた。が、2011年の東日本大震災の後、市内に80軒ほどあった古着屋が次々と店を閉じてしまい、悲しい思いを経験。その翌年、仙台の大学に進学すると、地元だけでなく東京にも足を運び、無数にある古着屋を掘って大学時代を過ごした。
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古着に限らずファッション全般が好きな末永さん。その知識は膨大だ。自身が発信するフリーのインスタグラムのコメントには、単なる商品の解説だけでなく、熱い思いが載せられ、そこに惹かれてやってくる人も多いという。今回フリーを推薦してくれた、スタイリストアシスタントの竹前さんもそんなひとり。
末永さんの私服はテーラードスタイルのスラックスがベース。カジュアルなアイテムをMIXして着こなすのが巧い。この日はカラーレスのストライプジャケットにスラックス、ドレッシーな組み合わせに赤いセーターをコーディネート。足元はイタリアのシューズブランド、デモンの登山靴風厚底シューズで今どきのハイブリッド感を添えていた。
池ノ上 FOLLIEE.(フリー)
RECOMMENDED ITEMS
フリーで扱っているのは主に1980年代から2000年代の古着。注目しているイタリアものはメジャーなブランドだけでなく、ハイブランドの製品を手がけるファクトリーブランドのものなどもピックアップしている。
テーラリングアイテムは、あくまで「カジュアルに着られるモノ」を選ぶのが末永さんのポリシーだ。そんなフリーの魅力が伝わる5選はこちら。
1_パッチワークレザージャケット
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ベージュとブラウン、2色のレザーを互い違いに配したレザージャケット。襟が重なったデザインや丸みのあるシルエットなど80’sを象徴する一着。「詳細は不明ですが、ラムレザーだからやわらかくて着やすいところが推しの理由です。見た目にはボリューミーですが、着るとシュッとしています」(末永)。インスタには末永さんの着用画像もアップされている。
2_ベルファのコート
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玉虫のような光沢のある生地のショートコート。ピーコートとN-3Bを合体させたような佇まい。「ピーコート風ですが、パフジャケットになっているところが秀逸です。ベルファはアルマーニのファクトリーだったことでもイタリアでは有名で、デザインも素材もいいものが多く、古着で見つけると買い付けています」(末永)。こちらもインスタに末永さんの着用画像がアップされているので要チェック。
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1950年代にスポーツウェアで人気を博し、1990年代にはジョルジオ アルマーニのスポーツウェアやレザー製品を手がけたことでも知られるイタリアのファッションメーカー。2010年代にイタリアでの活動は休止された。
3_ヘルムート ラングのジャケット
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ミニマルなデザインながら大胆な素材の切り替えにモード感が漂うショートジャケット。「これはヘルムート ラングがクリエイティブディレクターを辞任した後、アメリカでつくられていたライセンス商品ですが、緻密な切り替えは斬新でモード感があります。カジュアルにも合わせやすいと思います」(末永)。
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90年代に日本でも脚光を浴び、近年、人気が再燃中のヘルムート ラング。この製品は本人が辞任した2005年以降のもので、MADE IN USAのタグが付いている。
4_アンゴラ&ベロアMIXコットンニット
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ジグザグボーダーのところどころにカラフルなモチーフが編み込まれたジャカードニット。「コットンニットにアンゴラやベロアを編み込んだジャカードニットです。春にスウェット感覚で着られるのがおすすめのポイント」(末永)。
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マスタードとネイビーの配色にトレンド感があり、レッド、イエロー、パープル、ホワイトの幾何学模様がランダムに散りばめられ、それがまたアンゴラやベロアの異素材という手の込みよう。一枚で着て主役になるニットだ。
5_絣の3タックパンツ
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絣のチェック柄パンツは80’sらしい3タックで、バルーン調のシルエット。「ネップ入りの絣は自分が好きな素材です。クラシックなこの柄もボリューミーなシルエットもかわいくて、いろんなスタイリングが楽しめます」(末永)。
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オレンジ、ブルー、イエロー、レッド…よく見ると、たくさんの色が使われている贅沢なネップ絣。腰回りがゆったりとしていて裾がすぼまったバルーン調のシルエットは、今のトレンドにもリンク。レトロモダンな着こなしが叶う。
次回はスタイリスト竹前さんが気になった
アイテムやコーディネートを紹介!
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SHOP DATA
住所:東京都世田谷区代沢2-42-8
営業時間:14:00~21:00 土日祝日13:00~20:00 不定休
Instagram:https://www.instagram.com/folliee_tokyo
HP:https://folliee.base.shop/
Photos:Kaho Yanagi
Composition & Text : Hisami Kotakemori
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