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おしゃれプロが推しの古着屋を紹介する連載。今回はスタイリストの瓜坂拓海さんが、古着のイメージがないエリア・自由が丘にあるエロティックへ。店名からは想像がつかない、洗練されたセレクトに圧倒される!
今回のお店を訪ねたのは…
メゾンやハイブランドを中心に誰もが
取り入れやすい「いい古着」をそろえる
SHOP PROFILE
自由が丘駅の南口から徒歩5分ほど、商業エリアとは逆の住宅街にエロティックはある。オーナーは原宿のキンセラ、下北沢のフランクブラックと人気の古着店に13年間勤め、店長やバイイングを担当していた杉本陽介さん。いつかは独立して自分の店を持とうと思っていた杉本さんは、コロナ禍が一段落した2022年に独立。同年の9月にエロティックをオープンした。
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自由が丘に店を出したのは、あえて古着屋がない場所を狙ってのこと。持ち前のチャレンジ精神で、わざわざ足を運びたくなる「いい古着」をそろえて勝負をしている。ガラス張りのギャラリー的な展示スペースの奥に店があり、外からは店内が見えない。ガラス面にピンクで書かれた「EROTIC」の文字と、同じくピンクの文字のミラー看板が目印だ。
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入ると店内は広々としていて、古着がゆったりとディスプレイされている。コンクリート打ちっぱなしの床に白壁、プロップなどはなく、ハイブランドのブティックのような雰囲気。手前にはテーブルと名品チェアが置かれ、シルバージュエリーやニット類が並ぶ。
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スタイリストの瓜坂さんは、最近気になっているレトロハイテクを象徴するブランド、ストーンアイランドやC.P.カンパニーの古着を豊富にラインナップしているところに惹かれて、エロティックに足を運ぶようになったそうだ。入ると左手奧のラックがそのストーンアイランドのコーナー。これだけの数がそろっている古着屋はほかにないだろう。
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ストーンアイランド以外の古着は色別に分類され、オーナー杉本さんの推しのアイテムは壁面やラックの先頭にディスプレイされている。この日はエルメスのジャケットやメゾンマルジェラのセットアップなどが目を引いた。店内の右奥にはアンセルム、エッセイといったブランドの新品のセレクト商品とレディースの古着も。
買い付けはヨーロッパだが、アメリカ古着も多くその比率は半々ぐらい。全体的には90年代の古着が多い商品構成だ。
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エロティックはエルメスのヴィンテージジュエリーがそろっていることでも、マニアの間で注目度が高く、こちらはレジ横のガラスケースの中に陳列されている。大人気のシェーヌダンクルのブレスレットはもちろん、指輪やネックレスなどもバリエーションが多く、探している人は必見。
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入口入ってすぐの右手の壁には、オーセンティックなデニムやレトロ系の薄底スニーカー、グッチのビットローファーのようなハイブランドのレザーシューズも並び、エロティックの振り幅の広さがわかる。
自由が丘 EROTIC(エロティック)
STAFF PROFILE
オーナーの杉本陽介さんは静岡県の出身。地元では公務員をしていたという経歴の持ち主。当時静岡市のマンションの一室にEROTIC(エロティック)という、ジョンローレンスサリバンやダック&カバーなどのデザイナーズブランドと、古着をセレクトするハイセンスなセレクトショップがあった。杉本さんは「知る人ぞ知る服好きのメッカ」の常連になり、ハイエンドなブランドや古着に心酔。やがて公務員をやめ、ファッションの道を進むことに。
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EROTICで扱っていた中目黒の古着屋ケ バルバロ!出身のスタッフが、高円寺のハリーアップのスタッフとともに2008年、原宿に古着店キンセラをオープンしたことを知って、スタッフになろうと上京する。アルバイトからスタートし、2013年には下北沢の姉妹店、フランクブラックの立ち上げメンバーに抜擢されるなど、順調にキャリアを積んだ。
独立するときに、ファッションの本質を学んだ静岡の伝説のショップに敬意を表して、エロティックという名を自身の店に冠した。古着の中でも杉本さんが好きなハイブランドのものを中心に、友人が手がけるブランドの新品も一部セレクトして「誰でもおしゃれが叶う、手の届く最上級のいいものを」そろえる。
自由が丘 EROTIC(エロティック)
RECOMMENDED ITEMS
エロティックは杉本さんが年に4回、自らヨーロッパに出かけて買い付けを行っている。フランス、イタリア、ベルギーなど各国で、ときにはディーラーを介して、品質の確かなものをピックアップする。おすすめ古着は杉本さんが好きなブランドのものがそろった。
1_C.P.カンパニーのジャケット
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ゴーグルジャケットが有名なC.P.カンパニー。80年代には世界的にイタリアンカジュアルが流行し、C.P.カンパニーも躍進した。「エロティックではブランドの創業者でもあるマッシモ・オスティ時代のアイテムだけを集めています。このジャケットはマッシモ・オスティ本人が着ていた写真があって、ファンの間でも希少とされている一着です」(杉本)。
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C.P.カンパニーが得意とするアウトドアやミリタリーにオマージュしたデザインと、ガーメントダイならではの素材感に魅せられる。80年代のタグには人物が描かれ、また「IDEAS FROM MASSIMO OSTI」の文字も。マッシモ・オスティは1998年にモレノ・フェラーリがヘッド・デザイナーに就任するまで、C.P.カンパニーのデザインを担当した。
2_レザーモーターサイクルジャケット
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フロントのポケットが目を引くレザー製モーターサイクルジャケット。「こちらはスウェーデン軍のモーターサイクルジャケットをサンプリングしています。オリジナルの軍モノはコットンキャンバスやデニムですが、オールレザーで本格的なバイカージャケットになっています」(杉本)
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レザーのコンディションもよく、クルミボタンやトグルのディテールがクラシックで、デザインものならではのモード感も携える。両サイドは当時のバイカージャケットのトレンドを取り入れたレースアップ仕様。
3_マルジェラ期のエルメスのジャケット
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ラグジュアリーブランドの最高峰として君臨するエルメスも杉本さんが好きなブランドのひとつ。「マルタン・マルジェラが1997年にクリエイティブ・ディレクターに就任して、1998年春夏から2003年までエルメスのコレクションを手がけました。マルジェラ期のエルメスはシンプルで上質なアイテムが多く、中でもエルメスらしいレザーを使ったアイテムが好みです」(杉本)
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コレクターも多いマルジェラ期のエルメス。織りネームのHERMÈS-PARISがハイフンでつながれ、生産国のタグがすぐ下に付くのが特徴だ。襟裏やベルトにレザーがあしらわれ、フロントのファスナータブのレザーのデザインも現在のエルメスに通じていて、ひと目でエルメスとわかる。
4_エンポリオ アルマーニのレザーブルゾン
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ジョルジオ アルマーニのセカンドラインとして1981年にデビューしたエンポリオ アルマーニ。ジョルジオよりもトレンド感のあるモダンなデザインを得意とする。「アルマーニも好きなデザイナーのひとりです。MA-1スタイルのスエードブルゾンは、黒でドレッシーに着られるのが魅力。サイズ感もほどよくて買い付けました」(杉本)。シンプル&ベーシックでタイムレスに着られるブルゾンだ。
5_70’sのエルメスのブレスレット
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馬具工房から始まったエルメスの歴史を物語る、ホースビットをデザインしたブレスレット。「現在はつくられていない『モール ドゥ コース』は、エルメスファンの憧れです。市場に出ることが少ない貴重なこのブレスレットを見つけたので、迷わず買い付けました」(杉本)。
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ホースビットをつなぐパーツはよく見るとベルトになっている! この繊細さがエルメスの職人技であり、ほかのメゾンと一線を画す大きな魅力でもある。
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SHOP DATA
住所:東京都世田谷区奥沢5-40-12 南国ビル1階
営業時間:14:00~21:00 不定休
Instagram:https://www.instagram.com/erotic_jiyugaoka/
HP:https://erotictokyo.theshop.jp/
Photos:Kaho Yanagi
Composition & Text : Hisami Kotakemori
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