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おしゃれプロが推しの古着屋を紹介する連載。吉祥寺のスヌーズはスタイリストの荒幡征諄さんが、昨年から通う新鋭古着店。エッジのきいたセレクトが服好きに刺さる!
ブランドよりバイブス重視で
ときめく古着を掘りあてる
吉祥寺 SNOOZE(スヌーズ)
荒幡さんのCHECK POINT
カルチャーや音楽がインピレーション源というスタイリストの荒幡さんは昨年、下北沢のライブハウスでスヌーズのオーナーふたりに出会った。友人に石田友弦斗(ゆうげんと/下の写真右)さん、花村翔(かける/下の写真左)さんを紹介され、同世代ということですぐに打ち解ける。それからテリトリー外だった吉祥寺のスヌーズに足を運ぶようになった。
スヌーズは2022年11月に吉祥寺にオープンした新鋭古着店。店に行くとまずふたりに挨拶をして、気になるところから見始める。「ビジュアルからもわかる通り、ハイセンスなふたりが感性でジャンルレスにカッコいいと思う古着だけをピックアップしています。ふたりのテイストが違うので古着の振り幅が広いのも面白くて」と荒幡さん。
最近は「これまで着てこなかったトレーナーにトライしたくなったり、あとはトレンドのテック系も、たとえばパタゴニアのようなアナログよりで、自分がバイブスを感じるものから挑戦していきたい」とのことで、さっそくスウェット類をチェック。
気になった赤いスウェットを試着する。「赤に目がないもので。気分的にトレーナーをジャストで着たいなと思って・・・お、サイズ感もぴったり! (プリントの)NOISES OFFってしゃべるなってこと?」と、鏡を見てサイズ感やダメージ具合を確認する荒幡さんのそばで、石田さんが「グラフィックもしゃれているし、フロッキー風のプリントがミックスされていて気が利いているよね」と商品を解説。
トレーナーやテック以外にも自分が好きな70年代を最近また掘り下げているという荒幡さんは、「柄的には70’sだけど、ドットボタンがいいよね」と好みのアイテムも目ざとく見つける。「コーチジャケットみたいな素材で、シャツ型だからいろんな着方ができると思う」と、石田さんがさり気なくコメントを添える。
石田さんに勧められてミリタリーゾーンのラックへ。「実はミリタリーもあんま着たことがないんだ」と言いつつも、すぐに目に入ったのがM-65のカスタムジャケット。手に取ってディテールを見るや「何これ? 面白っ!」と荒幡さんが驚くと、「超ラルフ好きがカスタムしたんだろうね。ラルフ ローレン本体がやってたら、もっと縫製とかも丁寧なはず」と石田さんがフォローする。
中を広げてふたりでディテールを確認する。ライニングにはチェックシャツやスウェットが使われていて、ポロ ラルフ ローレンのネームタグやワッペンなども。「ヤバイね。こんなのラルフ ローレンにないっしょ」と荒幡さんが試着すると「なるほどね。こういう形なんだ。着てみるとカッコよ!」と感動。
その後テック系のアウターなどをひと通り石田さんから紹介されるが、心が躍ったのはロックなムードを携えるレオパード柄のフェイクファーコート。「ファー系も着てこなかったけど、ボタンじゃないから男子も着やすそう…」と荒幡さん。「イメージあったけどね。これを着て表参道を歩いているセイジュン(荒幡)を想像できる」と石田さん。「行けちゃうのか?」とその気になって試着すると「完全ロックンロールだね」と鏡に見入った。
入口側をひと通り見た後、花村さんの待つ奥のコーナーへと移動。「モノトーン・バイブスね」とモノトーンのアイテムが集まるラックを見渡し、チェック裏地の黒ドリズラーを試着。「ドリズラーは化繊混素材も多いけれど、その黒はコットンで、フェードした感じがいいんだよね」と花村さんが語ると「オッサンみたいに着たいな」と荒幡さん。「BDシャツを合わせてネクタイとかしちゃってもいいんじゃない?」と花村さんがスタイリング提案をする場面も。
近くのラックからナイロンのような光沢のあるパンツを見つけると「それはUKのレイブ系のブランドのものだけど、さっきセイジュンが言っていたテック系って、こういう生地で取り入れるのもいいんじゃない?」と花村さんがアドバイス。荒幡さんもうなずきながら、いろいろと思い巡らせていたようだ。
吉祥寺 SNOOZE(スヌーズ)
荒幡さんが気になったアイテム
回遊する中で石田さんや花村さんから情報をもらい、自分のウィッシュリストと照らし合わせて気になる5点を選んでくれた。
1_ビーズニット
荒幡さん好みのカラフルなジャカードニットは全体にビーズの装飾がほどこされている。「マルチカラーは好物のひとつ。遠くから見ると普通のジャカードニットだけれど、近づくとビーズが付いているのがわかるという。やりすぎてないハンドメイド感がよいなと。古着ならではのアイテムだと思います」(荒幡)。
「クラシック スポーツは総柄ニットが多いブランでビーズ使いのアイテムにも定評があります。このニットはクージー風の配色もよくて買い付けました」と石田さん。最近では見ない極彩色のニットだが、80’s~90’sには多くのニットブランドからリリースされていた。
2_NOISES OFFプリントスウェット
フロッキーロゴと劇場のイラストも凝ったスウェットシャツ。「これはメッセージ性がナイスですね。裏がパイルの肉厚でないライトな素材感もロンT感覚で着られて、今の季節に重宝します」(荒幡)。日付やチケット情報が入ったグラフィックなどから、イギリスの人気コメディ作品『ノイズ・オフ』公演のマーチャンダイズと推測される。
3_スタンドカラーデニムコート
M-65とカバーオールを合体させたようなデザインがユニーク。「このところずっとショート丈を着ていたんですが、この秋はハーフ丈が気分です。デニムの色褪せ感もいいし、襟にチンタブが付いてるからスタンドカラーにできたりして、いろんな着方が楽しめます」(荒幡)。ミリタリーのM-65では比翼仕立てになっているフロントがドットボタン仕様に。
「本格的なミリタリーには存在しないデニムのM-65というところが面白くてピックアップしました。サイズも大きめでコートっぽく着られます」(石田)。スタンドカラーのファスナーは中にフードがなく、ただの飾りというある意味斬新な一点。
4_総柄コーチジャケット風シャツ
ネイティブ柄にも見える極彩色の総柄シャツ。「シャツでナイロン素材でドットボタンというのが、あまり見ない仕様かなと。そもそも柄がいい! 胸にポケットが付いているのも最高。冬場はスウェットを中に着てなど、使いどころが多そう」(荒幡)。70’sとテックのハイブリッド感も刺さったポイント。
5_フェイクファーコート
MONTEREY(モントレー)は古着市場で、フェイクファーコートが人気のレディースブランド。「メンズではあまりないレオパード柄のコート。着る前は抵抗がありましたが、フロントをホックで留めるデザインでフェイクファーだからラフに着られて、意外に使えると思いました」(荒幡)。「メンズではなかなか出ないレオパード柄。レディースものでもメンズが着られるサイズだったのでこれは出色です」(石田)。
吉祥寺 SNOOZE(スヌーズ)
荒幡さんのコーディネート
トライしたいアイテムではなく、自分が心底好きなアイテム=カラフルなビーズニットをメインに選んでくれた。「今ではメゾンやハイブランドでしかやらないようなハンドメイドの技術を、カジュアルに落とし込んでいるのが最高。派手に見えますが、着てみると意外にどんなボトムでもイケそうでした」と語る荒幡さんがこのニットに合せたのは、何とパジャマ!
「カート・コバーンが大好きなので、パジャマシャツは個人的にも集めていたりします。店内でドット柄のシンプルなパジャマを見つけて、コレだと直感。パジャマ上下に合わせてみると、派手さが中和されて。このニットを別次元に昇華できたと思います」(荒幡)。この日履いてきた、ピンクのコンバース オールスターが見事にマッチしている。
取材を終えて
この日着ていたピーター・マックスのTシャツを夏に買ってから、スヌーズを訪れたのは約3カ月ぶりということもあって、石田さん、花村さんとの時間を十分に楽しんだ荒幡さん。「今日もこういうのが欲しいと思っていたモノに出会えました。見ての通り、パンチのきいたアイテムが多い古着屋です。普通の古着に飽きた人は絶対来たほうがいい!」と締めてくれた。
ブランドではなく、思い入れだけで選ぶふたりの古着愛が伝わってくるスヌーズ。駅からちょっと距離はあるが、行ってよかったと笑顔になること間違いない!
詳細は動画でチェック!
セイジュン、ユーゲント、ハナとお互いを呼び合う3人の仲のよさが伝わってくる動画は、「カッコよ」「バゴン系」「愛すべきオバカさん」など荒幡語録も炸裂! 見終わるころにはスヌーズ・バイブスの虜になっているかも?
SHOP DATA
住所:東京都 武蔵野市吉祥寺本町 4-6-3 アゼリア 101
営業時間:14:00~20:00
定休日:不定休
Instagram:@snooze_kichijoji
Photos : Kaho Yanagi
Movie : Yumi Yamasaki
Movie Edit : Yuuki Hayashi
Composition & Text : Hisami Kotakemori
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