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おしゃれプロが推しの古着屋を紹介する連載。今回はスタイリスト荒幡征諄さんが、同年代の友人オーナーが手がける吉祥寺のスヌーズを紹介してくれた。オープンして2年ほどという新鋭店のクセの強いセレクトが光る!
今回のお店を訪ねたのは…
吉祥寺に所縁のある20代オーナーの
チャレンジ精神あふれるセレクトに注目
SHOP PROFILE
吉祥寺駅のアトレ側出口から徒歩10分ほど。中通りの商店街を過ぎて、吉祥寺西公園の手前を右に曲がってすぐのところにスヌーズはある。オープンは2022年11月26日。花村翔(かける)さんと石田友弦斗(ゆうげんと)さんのふたりが、共同オーナーとして出店した。
花村さんは大学時代に1年間アメリカに留学して現地で古着を買い付け、2021年から古着のオンラインストアを展開していた。石田さんは美容専門学校をドロップアウトして、吉祥寺の古着店に就業。そんな折、客として足を運んだ花村さんと石田さんは初対面で意気投合し、やがていっしょに古着店を立ち上げるに至った。
出店するエリアとして選んだのは、ふたりが慣れ親しんだ吉祥寺。買い付けはアメリカ各地で、この2年の間に3回ほど出かけた。オープン前はふたりで、店を構えてからは石田さんがひとりで買い付けに行くスタイルに。古着のタグを頼りに、ブランド創立の地など自分たちが知らない町にも積極的に出かけ、仕入れ先を開拓している。
古着をセレクトするポイントは「オーソドックスじゃないほう」という天邪鬼な視点。この日は入った瞬間、デニム製のリーバイス®ベアブリックの向こうにニューヨーク・ヤンキースカスタムのリーのつなぎが。
「駅から10分も離れた古着屋に来てもらうために、それなりに価値のあるものをそろえたいと考えています。一般的なヴィンテージで勝負するよりも、ほかの古着店が選ばないような、自分たちが本当に好きなもの。それからお客さんの顔を思い浮かべて、『●●さんに響きそう』という古着をピックアップしています」と石田さん。
商品は色やカテゴリーによって分類され現在は入って右手がミリタリーなどカーキ系、奥にはカラフルなデザインもの。左手はデニムやネイビー系のアウター類、レジのある奥の部屋にブラック系のアウターやトップス、パンツ類がまとまっている。
レジ前のテーブルにはアクセサリーもラインナップ。天井にはラグや迷彩の布、壁には古い雑誌やアート作品が飾られ、椅子もあって、オーナーふたりの部屋のようなプライベートなムードが漂う。
その一角に、中にぎっしり古着がつめこまれた、大きな標本瓶が置かれている。アートなのかと思いきや「その瓶の古着はセール品で一律4,400円としています。吉祥寺は近くに大学がたくさんあって学生も多いので、こういうのもあったらいいかなと」と花村さん。20代オーナーならではのやさしい配慮だ。
天井と壁に『エイリアン4』のポスターが2枚貼られていたのが気になって、理由を尋ねると「この映画はアメリカで1997年11月28日に公開されたんですが、僕たちの生まれた年とスヌーズのオープンの日付が合体していて、これは運命だと。店のシンボル的に2枚貼っています」と花村さんが教えてくれた。素晴らしき偶然!
吉祥寺 SNOOZE(スヌーズ)
STAFF PROFILE
オーナー兼スタッフのふたりはともに1997年生まれの27歳。花村さんが客として石田さんの働いていた古着店に行ったのがきっかけで2021年に出会い、初対面から朝まで飲み明かしたという熱いエピソードも。最初は石田さんが花村さんのオンライン古着店を手伝う形で参加し、都内で3度のポップアップを経てスヌーズの共同オーナーに。
ふたりの私服からもわかるように、見ている方向は同じだが、テイストは微妙に異なる。もともとは花村さんが王道系古着好きで、石田さんは音楽&カルチャー系に強いという違いはあったものの、現在は共鳴しているようだ。
花村さんは最近、髪も金髪に染め、大分雰囲気が変わったと、今回スヌーズを推薦してくれたスタイリスト荒幡征諄さんも驚いていた。ちなみに荒幡さんは下北沢のライブハウスで昨年ふたりに出会い、これまた意気投合してスヌーズに通うように。
ちなみに石田さんはウエスタンコアなディアスキンのセットアップに、なんと裏原系ブランド、グッドイナフのフェイクファーのウエストバッグを合わせていた。このハイブリッド感がスヌーズの神髄かも?
吉祥寺 SNOOZE(スヌーズ)
RECOMMENDED ITEMS
店名のスヌーズ(SNOOZE)は「居眠り」や「うたた寝」を意味する。「単純に聞いたことがあるけれど、違和感があって『?』が頭に残るような言葉にしたくて」名付けたという通り、商品のセレクトも「違和感」がキーワード。トレンドは気にしていないが、Y2Kにはオープン当初から注目していて、自分たちなりに再構築したY2Kアイテムをピックアップしてきた。そんなスヌーズのおすすめはこちら。
1_The J.Peterman Companyのコート
The J.Peterman Company(ザ ジェイ ピーターマン カンパニー)はスタイリッシュなイラストのカタログで人気を博したアメリカのブランド。1997年公開の映画『タイタニック』の衣装を手がけたことも本国では有名。「単純にこのブランドが好きで、見つけると買い付けています。クラシックなデザインを得意としていて、レトロな佇まいでウール100%なのに軽いという点も素晴らしい」(石田)。
2_リバーシブルパーカ
カラフルでハッピーな作風で有名なオーストラリアのアーティスト、Ken Done(ケン・ドーン)のアパレル。80’s~90’sには雑誌『Hanako』の表紙を手がけ、日本でも知名度が高い。「これは油絵のような総柄が古着で人気のMichigan Rug Co.(ミシガン ラグ)のようで、フード部分まで閉じるファスナー使いはA BATHING APE®を彷彿とさせるハイブリッドなデザイン。しかもまさかのリバーシブルでUSA製というのもツボでした」(石田)
柄面はジャージー素材、無地面は布帛で表情がガラリと変わる。ブルーのファスナーがアクセントとして生きているのもポイント。
3_ベロアのパッチワークスカート
マルチカラーのベロアパッチワークが70’sムードを醸し出すロングスカート。ボヘミアンなデザインを得意とするレディースブランド、KATHMANDU(カトマンズ)の古着だ。「民族調やベロア素材にも注目していて、スカートも好きでよく買い付けています。ウエストがドローストリングでサイズ調整できるので、メンズでもイケます」(石田)
4_ハンドメイドのニットコート
アメリカのアパレルブランド、MARSH LANDING(マーシュ ランディング)のハンドメイドニット。ガウン風にベルトが付き、ニットコート的にも着られるデザイン。「モチーフは花ですが、ラルフ ローレンのネイティブ柄のニットのようなムードがあって、ハンドメイドという点に惹かれました」(石田)
襟からフロントにかけて太いステッチのトリミングが施され、ハンドメイドニット感を高めている。よく見るといろいろなカラーが配さている(古着用語で「星空ネップ」というそうだ)のも石田さんのハートをとらえたディテール。
5_ラルフ ローレンカスタムの
ミリタリージャケット
こちらはM-65をラルフ ローレンのチェックシャツやスウェットでカスタムしたアウター。「ラルフ ローレンがやりそうなイメージでファンが手づくりしたアウターです。めちゃくちゃ凝っているんですが、素人的な粗さもあって、それも愛おしい」(石田)
背面にスカジャンのようなトラモチーフがプリントされている。袖やフードも迷彩の切り替えにするなど、非常に凝っている。ありえないアイテムが見つかるのも古着の醍醐味だ。
次回はスタイリスト荒幡さんが
気になったアイテムやコーディネートを紹介!
SHOP DATA
住所:東京都武蔵野市吉祥寺本町 4-6-3 アゼリア 101
営業時間:14:00~20:00
定休日:不定休
Instagram:snooze_kichijoji
HP: https://snooze.base.shop/
Photos:Kaho Yanagi
Composition & Text : Hisami Kotakemor
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