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おしゃれプロが推しの古着屋を紹介する連載。今回はスタイリスト佐藤弘樹さんが、池ノ上に昨年6月にオープンしたスケアを紹介してくれた。アシスタント時代から交流のある同年代オーナーが、西海岸で買い付けてきたばかりの古着を熱く解説。
今回のお店を訪ねたのは…
推しカルチャーを核にハンドピックした
古着はどれもこれも思い入れたっぷり!
SHOP PROFILE
井の頭線の池ノ上駅北口を出て3軒隣りと、かなりの駅近。コンクリート打ちっぱなしの建物の1階で、ガラス戸に書かれた70年代ムードのSCAREの文字が目印だ。外から中の様子がよく見えて、初めてでも入りやすいムード。
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奥行のある店内はゆったりと古着が並べられ、中央のテーブルに写真集が並び、ブランドのフラッグシップショップのような雰囲気。2023年6月にオープンしたスケアは、ラボラトリー/ベルベルジン®出身の須田託実さんとアームズクロージングストア出身の及川将生さん、ヴィンテージ古着の名店で研鑽を積んだふたりがはじめた古着屋だ。

須田さんと及川さんは同じ高校の同級生で、大学入学を機に上京。もともとファッションとカルチャーが好きで、古着屋で働きながら、いつか「いっしょに店をやろう」と準備してきた。2020年にECからスタートして、コロナ禍が落ちついたタイミングで出店。主力商品は彼らの嗜好を反映したカルチャー色の濃い古着だが、王道のアメカジ古着もひとヒネリあるものをラインナップする。
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ふたりのベースにあるのはヒッピーやパンクといった70’sのカウンターカルチャー。そこにそのときどきの自分たちのMYブームをMIXして、ハマる古着をセレクトする。この5月にはアメリカ西海岸に3週間ほど、初の買い付けにも出かけた。
「最近はふたりともレイヴカルチャーに傾倒しています。その世界観を知ってもらうために、今は現地で買ったハードコアレイヴや、それ以外にも僕らが気になっているジャマイカ映画『ロッカーズ』の写真集などをセンターテーブルに並べています」(須田)。

現地に行ってみて感じたことやいいなと思ったものも積極的に買い付けてきた。そのひとつが西海岸ならではのサーフやスケートにまつわる古着だ。「80’sのステューシーが出していたような、身幅が広くて着丈が短いサーフ、スケーター系のTシャツもいいものが見つかりました」(須田)。
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古着の名店出身ということで、エッジがきいたものだけでなく、古き良きものを見極める目は肥え、バランス感覚も持ち合わせている。「僕たちはディズニー古着も好きで、スケアのベーシックラインとして扱っていく予定です」(及川)。先のTシャツ後ろの棚にはディズニーTシャツ、ショーケースのバッジの中にもディズニーグッズがラインナップされている。

店の奥にはクラシックなフォルムのベンチが置かれ、買い付けの際に見つけた蝶のクロス刺繍がインテリアの一部として飾られている。お客さんと会話を楽しみながらふたりのお気に入りや提案を丁寧に説明している様子が目に浮かぶ。
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ちなみにレジ上に置かれた白ダルマは高崎ダルマ。ふたりが群馬県高崎出身ということで、地元の特産品を飾っている。眉毛で鶴を、口ひげで亀を表現していることから、「福だるま」「縁起だるま」とも呼ばれているそうで、ゲン担ぎには最高だ。
池ノ上 SCARE (スケア)
STAFF PROFILE
スタイリスト佐藤さんは、オーナーの須田さん、及川さんとアシスタントのころに知り合った。「お互いの下積み時代を知った上で、それぞれ独立して今のポジションにあるということもあり、どこか同志のような感覚があります」と佐藤さんがいう通り、お互いを「ヒロ」「タクミ」「マサキ」と呼び合う親しい仲。
「常にアンテナをはっていて、チャレンジ精神旺盛なところにも刺激される」と彼らを紹介してくれた佐藤さん。この私服姿を見れば、感度の高さが自然と伝わってくるだろう。
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「LAに行ったときスカート姿のメンズにたくさん出会って。多様性を目の当たりにしつつ触発されました」という及川さんはショーツとジーンズのレイヤードで、そのエッセンスを取り入れていた。須田さんはアメリカで買ったハンドメイドのデニムパンツにアレキサンダー・マックイーンの2000年代のブーツ、チルドレンオブザディスコーダンスのトップスとモードMIXな着こなし。スケアの世界観が私服からも読み取れる。
池ノ上 SCARE (スケア)
RECOMMENDED ITEMS
スケアが掲げるカルチャーとヴィンテージ、2つの柱がよくわかるおすすめを西海岸で買いつけてきたばかりの古着からピックアップしてもらった。夏向きということはもちろん、フェスなどに着ていけば気分が上がること必至のセレクト。
1_アフリカンバティックのセットアップ
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メゾンブランドが取り上げたことでも脚光を浴びたアフリカンバティックは、レイヴシーンでも人気が高い。「アフリカのろうけつ染めです。これはクラッキングというひび割れ模様と、水紋のようなサークル柄のコンビネーション。テキスタイルのクオリティの高いセットアップです」(須田)

サルエル風のパンツは「ベルトループが付いているのもポイント」と須田さん。ウエスト位置を自分で調整していろいろなシルエットが楽しめる。
2_リーバイスのボロシャンブレーシャツ

リーバイスのシャンブレーシャツの袖をカットオフしたノースリーブシャツ。「Lサイズなので夏場ベスト的にも着られそうと思って買い付けました。シャンブレー×ボロがツボで。ネルシャツのボロはよく見かけますが、シャンブレーでここまで着こまれたものは珍しいです」(須田)。須田さんの言葉通り、色だけでなく生地そのものもかなり薄くなっていて、よくぞここまで! と思うようなヴィンテージ。ある意味、究極のグランジかもしれない。

ネック部分の織りネームはスモールeで胸のポケットにはオレンジタブが付く。加工では出せない時間の経過が見える色褪せ感。
3_サイケパターンのパンツ
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サイケデリックなマーブル柄がレイヴ感を醸し出すコットンパンツ。「これはもう柄です。かなり細身で、ヒップポケットのないデザイン。もしかしたらレディースのものかもしれないんですが。白×黒のマーブル模様が最高です」(及川)。レディースを買い付けるときも、メンズでの着こなしを想定しているとのことで、彼らの着こなし提案が楽しみだ。
4_CY・BORGのショーツ
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ナイロンサテンのような光沢のあるビッグシルエットショーツは、レッグ部分にCY・BRRGとブランド名の刺繍パッチが。「今はなき90年代のアメリカのブランドです。僕たちはサイバーパンクにもフォーカスしていて、このショーツにはそんなムードもあるんですよね」(須田)。
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フロントはデニムパンツ風だが、バックはイレギュラー。「ヒップポケットも斬新で、レッグ部分にポケットがあるのもユニークです」(須田)。
5_スカルバックルブーツ
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スカルとボーンのバックルが4連で付いたロングブーツは、及川さんの激推しアイテム。「ショーツにブーツというのも提案したくて、さっきのワイドショーツにこんなブーツを合わせてほしいんですよね。このブーツ自体はゴシックパンク的なアイテムなんじゃないかと思いますが、ナイロンショーツと合わせることでサイバーパンク感が演出できます」(及川)。
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スカルのバックルも、レザーの質感もチープさはなく、ロックミュージシャンのステージ衣装を彷彿とさせるクオリティ。こんなアイテムを買い付けてくるところがスケアの振り幅の広さだ。
次回はスタイリスト佐藤さんが
気になったアイテムやコーディネートを紹介!
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SHOP DATA
住所:東京都世田谷区代沢2-46-5
営業時間:13:00-21:00
定休日:不定休
Instagram:https://www.instagram.com/scare______/
HP:https://scareclothing.stores.jp/
Photos:Kaho Yanagi
Composition & Text : Hisami Kotakemori
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