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おしゃれプロが推しの古着屋を紹介する連載。今回はスタイリスト浅野 亨さんが、オンラインストアからスタートしたエスメラルダサービスドデパートメントをナビゲート。「メンズノンノモデル中田圭祐さんが好きそうなお店」ということで、ふたり連れ立って来訪した。
今回のお店を訪ねたのは…
ベーシックながらひねりのある
セレクトに定評ありの男女で楽しめる店
SHOP PROFILE
エスメラルダサービスドデパートメントは、原宿からも渋谷からも歩いて行ける代々木公園エリアにある。地下鉄の代々木公園駅からは歩いて4分ほどというロケーション。ガラス窓にオレンジレッドで書かれたEsmeralda Serviced Departmentが目印だ。
古いマンションの階段を上って店内に入ると、入口付近にソファや椅子が置かれ、棚に並んだ雑貨が目に飛び込んでくる。
ゆったりと商品がディスプレイされ、ところどころに写真も飾られ、どこかギャラリーのようなムード。L字に広がる店内の入口側に新品が並び、卓球台のようなテーブルをはさんで奥が古着のコーナーになっている。
2017年に古着のオンラインショップとしてスタートしたエスメラルダサービスドデパートメントが、ここに実店舗を構えたのは2022年8月のこと。大学の芸術学科を卒業して編集・ライターをしていた金山木子さんが、ファッションカメラマンとして活動する友人のLocal artistさんとともに共同で出店した。
Local artistさんの作品発表の場を兼ねていたオンラインショップは、感度の高いビジュアルでおしゃれ好きを魅了していた。金山さんは古着だけでなく、自分の感性に合う内外のブランドもセレクトしはじめ、2019年からポップアップストアも開催するように。そこで対面して販売することの重要性を感じ、コロナ禍が落ち着いたところで実店舗を構えた。
エスメラルダサービスドデパートメントの商品構成は古着が全体の4割程度。メンズとレディースの割合は新品、古着ともに4:6でレディースの割合が高いが、ユニセックスで着られるアイテムも多い。新品のアクセサリーや小物もほかで見ないような素敵なラインナップで、古着と新品をミックスしたコーディネートのアクセントにちょうどいい。
トレンドや好みといういうことだけでなく、ファッションに携わるクリエイターとしての目線も含めて金山さんとLocal artistさんが好きなもの、自信をもっていいと言えるものをバイイングしている。その独特の視点がほかの古着店、セレクトショップとの大きな違いかもしれない。
浅野さんもエスメラルダサービスドデパートメントの美意識に共感するひとりだ。「古着以外のものも素晴らしいので、いつもは店に入ったらまず卓球台のようなテーブルの上にある雑貨類から見ています。聞いたこともないような内外のブランドのものがあって、見ていてワクワクします」(浅野)。
この日テーブルの上で目立っていたのは、ボール状のものをつなげてアクセサリーや雑貨をつくるオランダのブランド、Pien(ピーン)のもの。これらは金山さんがブランドに直接コンタクトを取って買い付けているのだとか。中田もガラスビーズのネックレスが気になって、手に取り眺めていた。
代々木公園
Esmeralda Serviced Department
(エスメラルダサービスドデパートメント)
STAFF PROFILE
エスメラルダサービスドデパートメントの店頭にはオーナーでもある金山木子さんが立っている。金山さんは中学生の頃にモードファッション誌『シュプール』を読んだのがきっかけでファッションが好きになった。「写真の独特の抜け感が好きでした」という初期体験が、空間づくりや自身のスタイルにも反映されているようだ。
この日は古着のゲームシャツをオリジナルブランド、アプリオリのパンツとコーディネート。インナーのタートルはユニクロ、足元はトリプルブラックのナイキ エア フォース 1というハイブリッドなスタイリングだ。ミリタリーショップで購入したというナイロンベルトがほどよいアクセントとして効いている。「店頭に立つときはお店の提案がわかるようなアイテムを取り入れています」(金山)。
この日は古着のゲームシャツがその提案アイテム。ただしサッカーでなくクリケット用で、ロゴを見ればSRI LANKAのナショナルチームのものとわかる。ゲームシャツはこの春、多数そろえていたが、すでに完売して店頭になかったのが残念だ。
代々木公園
Esmeralda Serviced Department
(エスメラルダサービスドデパートメント)
RECOMMENDED ITEMS
古着をセレクトするポイントは年代ではなく、デザインやムード。自然と80’sから2010’sぐらいのヨーロッパのものが多くなった。中でもメンズはイタリアのものが目立つ。毎月1度、月頭に入荷するので、古着を狙っていくなら月初がおすすめだ。今回は夏に向けておすすめのもの、またエスメラルダサービスドデパートメントらしさがわかるものも金山さんに選んでもらった。
1_ミズノのオリンピックロゴT
オリンピックイヤーの今年、五輪グラフィックはキャッチーだ。「パリでオリンピックも開催されますし、肩のあたりの擦れかげんが絶妙によかったのでセレクトしました」(金山)。ミズノというブランドを選ぶあたりもエスメラルダサービスドデパートメントらしい。このほかにもポップなグラフィックのTシャツが充実。
右袖に1978年に設立されたWFSGI (World Federation of the Sporting Goods Industry/国際オリンピック委員会公認のスポーツ業界の世界的権威団体)のロゴが。左袖には80年代初頭から採用されていたミズノのMロゴがあしらわれている。
2_ベネトンのカラーTシャツ
カラーバリエーションの豊富さで1980年代から90年代にかけて、世界的に大ブレイクしたイタリア発のベネトン。「カラーバリエーションの豊富さではベネトンは素晴らしいです。胸にワンポイントだけの無地Tシャツはどんなコーディネートにも合わせやすく、ほかにないニュアンスカラーをいろいろピックアップしました」(金山)。
1965年に創業され、現在もグローバルに展開されているベネトン。ニットの編み目をモチーフにしたアイコンは、ニットブランドからスタートした歴史を物語る。このTシャツは勢いのある時代のイタリア製。エスメラルダサービスドデパートメントでは複数の色をラインナップしている。
3_ウンガロのサマーニット
透け感のある編み柄が今っぽいコットンニット。「編み柄の美しさに惹かれました。薄手で6月頃にちょうどいいと思います。インナーにシャツを合わせて、透け感を楽しんでほしい」(金山)。フェード感のあるオレンジ系カラーがモダンな印象。
1950年代に初代バレンシアガのもとでアシスタントを務めたフランス人デザイナー、エマニュエル・ウンガロのメンズブランド。日本ではタオルなどのライセンス品が有名だが、今も続くデザイナーズブランドだ。
4_モールスキンのパンツ
スタイリスト浅野さんと中田も店内回遊の際に食いついた起毛素材のパンツ。「パッと見は地味ですが、起毛された独特な素材感が魅力のモールスキン。ワンタックのテーパードシルエットとデザインやシルエットはベーシックなので、合わせやすいと思います」(金山)。
ワークウエアに使われていることでもおなじみタフな素材。コットン100%だから起毛でも長いシーズン着用できる。深いグリーンの色みもいい。こちらもイタリア製だ。
5_布製のブーツ
メゾンブランドのネタ元になっていそうな布製のブーツ。「用途は不明ですが、カナダの先住民が履いているようなブーツです。単純にモノとして面白いので買い付けました。形状からして外で履くようなモノではなさそうですが…」(金山)。ブランドのルックなどの撮影で映えそうなアイテムだ。
内側にはBOOTS,MUKLUKの名称の下に注意書きとヒモの巻き方が解説されたパッチが。MUKLUKはイヌイットの履く長靴や、エスキモーでは毛皮の長靴を意味する言葉。エスメラルダサービスドデパートメントに置かれていると、もっとモードな出自のものかと思ってしまう。
次回はスタイリスト浅野さん・
メンズノンノモデル中田が
気になったアイテムやコーディネートを紹介!
>>記事はこちらから
SHOP DATA
住所:東京都渋谷区富ヶ谷1-37-2 1F
営業時間:12:00~19:00
定休日:水・木
Instagram: https://www.instagram.com/esmeraldaserviceddepartment/
HP: https://www.esdepartment.com/
Photos:Kaho Yanagi
Composition & Text : Hisami Kotakemori
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