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おしゃれプロが推しの古着屋を紹介する連載。古着好きスタイリスト泉敦夫さんが、吉祥寺のチェリーラヴィルで根掘り葉掘り。「落ち着いた大人の王道アメリカ古着」に憧れつつ、最終的に選んだものは? 今回も語りが絶好調!
アメカジの王道からクセありアイテムまで
「失敗しても後悔しない価格」が染みる!
吉祥寺 cherry loville
(チェリーラヴィル)
泉さんのCHECK POINT
インスタで古着屋をチェックして、気になった店には足を運ぶ泉さん。この2年ほどチェックしていたチェリーラヴィルにも、今年になってやっと足を運んだ。「アメリカのオーセンティックな古着が多い印象ですが、そんな中にも僕好みのクセのあるものがけっこうあって。お店の規模感と商品数もちょうどよくて、とても見やすかったんです」と初来店の感想を語る。
そのときはステューシーのナイロンブルゾンを購入したが、「8,000円ほどという値段に驚きました。どの商品も手が出しやすい価格で」(泉)。動画(この記事の最後で観られます)では、泉さんがオーナーの加藤由久さんに値段について突っ込む場面も登場する。「失敗しても後悔しないで、経験値を上げられるように」という加藤さんの思いから、チェリーラヴィルは手に取りやすい価格を大前提にしている。
入口から壁沿いに右回りで見ると、すべての商品が見られるチェリーラヴィル。この日は入ってすぐ右手のパンツコーナーから、泉さんのトークが炸裂する。「前回気になったパンツがめちゃくちゃ多かったんですよね。ヨーロッパもののワークパンツとか、中学時代に憧れていたAND1のバスパンとか」と、気になるパンツを次々とピックアップ。
看板女子スタッフ、ダナヲさんセレクトのコーナーがあることを知るとさっそく「おすすめは何ですか?」と推しのアイテムを尋ねる。ダナヲさんが「くたくたの服が好き」と言えば、オーバーサイズのグリーンのスウェットを見つけて「このダルダルの感じがいいねー」と絶賛。「実はスウェットをあまり持ってないから探していたかも?」と、スウェットのコーナーを念入りに見る時間も。
ハンティングワールドのフード付きジャケットを試着したり、Tシャツのグラフィックに突っ込んだり。試着したブルックス ブラザーズのコートは王道のステンカラーかと思いきや、ポリエステル素材。90年代のデッドストックと加藤さんが教えてくれた。「このぐらい軽い感じもいいね。ゆったりしていて落ち感もあるし、春先ちょうどいいかも?」とかなり気に入った様子。
回遊する中、泉さんはオーナー加藤さんに「僕は古着屋でトレンドを発見することが多いんですが、古着屋さんもそのあたりは考えているんですかね?」と質問を投げた。すると加藤さんは「僕は古着を買い付けるとき、これが似合いそうというお客さんを思い浮かべます。新品のセレクトショップは100人中99人が欲しいものを選ばないといけないけれど、古着はひとりが欲しければいいので」と核心を突く回答をしてくれた。場にいた全員がうなずく。
吉祥寺 cherry loville
(チェリーラヴィル)
泉さんが気になったアイテム
時間をかけて店内を回遊して、加藤さん、ダナヲさんのコメントも鑑みて泉さんが選んだのはこの4点。泉さんらしい「着ていそう」なアイテムと、泉さんが「挑戦したい」アイテムが半々といったところ。
1_フレンチワークパンツ
回遊をはじめてすぐに心を奪われたパンツ。「ガチなワークパンツですが、ひざにパッチがついているのがありがたい。しかもフランスもののせいかしゃれています。サイズ表記を見るとほぼ全人類にOK的なことが書いてありますが、実際は身長170cmの僕でぴったりでした」(泉)。ひざ当てがシルバーグレー、フラップポケットが片方だけというデザインもこなれている。
ヒップポケットは2つあり、右サイドにはペインターパンツのようなループやツールポケットも備えている。ウエスト部分にシールがついているように、デッドストックだ。
2_パタゴニアのR-1フリースプルオーバー
パンツコーナーの壁にディスプレイされていたパタゴニアのフリースプルオーバー。「シンプルなデザインのベースレイヤーアイテムをさらっと街着にするのもいいと思いました。Y2Kっぽいネオンカラーがアクセントになりそうです」(泉)。
ベースレイヤーとはパタゴニアが提唱するアウトドアのレイヤリングシステムのこと。吸湿発散性のあるインナー、保温性のあるミドルインナーに撥水や防風、防水シェルなどアクティビティに合わせてカスタムする。グリッド・パターンのポーラーテック素材を使用したこのR1は、クライミングやバックカントリー向きのトップス。街着としても快適な一着だ。
3_プリントスウェット
ダナヲさんセレクトコーナーから選んだスウェット。「カレッジスウェットでよく見るアーチロゴと風景をミックスしたグラフィックに惹かれました。スーベニアものだと思いますが、センスがいい」(泉)。1990年に新しい橋をスライドさせることで完成したカナダ・トロントの歴史的イベントをプリントにしている。
4_無骨なムードのワークジャケット
こちらもダナヲさんにすすめられて刺さったジャケット。「Gジャンスタイルですが、フロントジップで、ポケットや裾にドーナツボタンをあしらうなど、ちょっと無骨なムードがいい。男子がコンパクトに着ても、女子がちょいゆるめに着てもかわいい」(泉)。ベージュ色は意外に使いやすく、春の羽織りに最高だ。
ファスナータブにはGAPの刻印が。ドリズラージャケット風のイメージもあり、マルチなスタイリングが楽しめそう。
吉祥寺 cherry loville
(チェリーラヴィル)
泉さんのセルフコーディネート
青春時代に憧れたバスパンも候補に上がり、あれこれ悩んだ末、シルバーのひざ当てが付いたフレンチワークパンツをコーディネートのメインアイテムに決めた。「インパクトのあるデザインですが、自分らしくトップスはスポーティなアイテムでまとめました」(泉)。
トラックジャケット風のエディ・バウアーのアウターとナイキACGのロンTをトップスに。ブラックにグレーの同系色で全体をモノトーンでまとめた。「こういうスポーツ系のトップスにはスラックスを合わせるのが、最近のセオリーになっていますが、あえてゴリゴリのワークパンツをコーディネートしたのがポイントです」(泉)
シルバーのひざ当てにテックなムードもあり、履いてきたハイテクスニーカーがばっちりハマッた。「このスニーカーは前回の【プロが推す東京の古着屋】取材のとき高円寺のリベラルで買ったものですが、ヘビロテしてます!」(泉)。ちらりと見えるジャケットの青、足元の赤がモノトーンに華を添える。このあたりも計算しているのだろうが、お見事。
取材を終えて
店内のほぼすべてのアイテムを網羅した泉さん。「いろいろ話を聞きながら見ていくと、また気になるものが見つかったりして、きょうも面白かったです! 手に取りやすい価格ばかりだから、試したいと思うものがたくさんありました。取り合えず、きょうはこのACGのロンTを買って帰ります!」(泉)。
取材の後、「手に取りやすい価格」と「おしゃれ好きに訴える古着」で、同行したスタッフもあれこれと買い物を楽しんだ。接客されるのが苦手という人、気軽に古着を楽しみたいという人はもちろん、古着通を自負する人も確実に楽しめるのが、チェリーラヴィルのスゴさだ。
詳細は動画でチェック!
泉さんのつい回想しがちなトーク、加藤さん&ダナヲさんの“引き算”の接客で、最初は淡々と進行。慣れるにつれ、どんどん突っ込んでいく泉さんと、ちょうどよい距離感で解説してくれる加藤さんの会話にもリズムが。古着屋の真髄にも迫る動画は必見!
SHOP DATA
住所:東京都武蔵野市吉祥寺南町1-15-1-2F
TEL:0422ー43ー0956
営業時間:13:00~20:00
定休日:基本無休
Instagram: https://www.instagram.com/cherryloville/
Photos:Kaho Yanagi(still)Yumi Yamasaki(movie)
Movie Edit:Yuuki Hayashi
Composition & Text : Hisami Kotakemori
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