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おしゃれプロが推しの古着屋を紹介する連載。今回は古着好きスタイリスト泉敦夫さんが、インスタを見てずっと気になっていた吉祥寺のチェリーラヴィルを深掘り。実は、商品セレクトだけでなく、スタッフ歴もスゴい!
今回のお店を訪ねたのは…
レギュラーのアメリカ古着が主軸で
看板女子スタッフのセレクトコーナーも
SHOP PROFILE
チェリーラヴィルは吉祥寺駅の南口から徒歩3分ほどのレンガづくりのマンションの2階にある。もともとは吉祥寺の老舗古着店ミント(mint)の姉妹店として2017年、吉祥寺駅北口にオープンした。レディース古着がメインの店だったからチェリーラヴィルという架空の女性の名前を店名に。インスタグラムのアイコンになっている女性の絵は、当時の美大出身だった店長がチェリーラヴィルさんをイメージして、店の入口に描いたものだ。
最初の店舗は吉祥寺駅から徒歩10分という立地だったが、2019年に駅から近い現在の場所に移転する。2020年にミントを閉店することになり、メンズ部門をチェリーラヴィルに統合した。もともとチェリーラヴィルにやってくる女子たちは、小さいサイズのメンズ古着を求めてくる人が多かったそうで、現在も女性客が多い。
吉祥寺オリエントマンションの入り口が目印。階段を上がってすぐ左手がチェリーラヴィルで、営業時はドアが解放されているからすぐわかる。WELCOMEとアメリカ国旗をドッキングさせたサインボードからも推測される通り、アメリカ古着を主軸にした古着店だ。
奥がバルコニーに出るガラス戸という明るい一室に、きれいな古着が整然と並ぶ。入ってすぐ、カウンター前のラックは、この後紹介するチェリーラヴィルの看板スタッフ、ダナヲさんがセレクトした推し古着のコーナー。「直感的に“いいもの”、かわいげのあるものを選ぶ」のがダナヲさんのモットーで、今のファッションにマッチする古着が並ぶ。
ダナヲさんのラックの裏には、これから夏に向けて商品数が増えていくTシャツの棚が。「80年代から90年代のものを中心にMade in USAにこだわってセレクトしています」とオーナーの加藤由久さんのこだわりも垣間見える。
入って右手の壁にスウェット、ロンT、軽いジャケット類がアイテムごとに陳列されている。ロンTは今季、くすんだ色のものとライン入りのものを重点的に集めた。「チェリーラヴィルには老若男女、いろいろな人がやってきます。若い世代と同じくらい僕の同世代もきてくれるので、くすんだ色は同世代に向けたセレクトです」と、オーナーの加藤さんが解説してくれた。
吉祥寺 cherry loville
(チェリーラヴィル)
STAFF PROFILE
オーナーは見るからにやさしそうな加藤由久さん。若い時分は、お金を貯めては海外に出かけていた。もともとイギリス好きだったが、90年代にアメリカのカルチャーが時代を席巻するようになりアメリカに傾倒。古着屋経験はなく、一匹狼的に古着店をはじめたという異色の経歴の持ち主。
吉祥寺にミントをオープンすると土地柄、武蔵野美術大学の学生が出入りするようになり、なんとメンズノンノモデルのOB、髙橋義明さんも大学時代にアルバイトをしていたそうだ。
その後も女子の2人組ラップ・ユニット、Y.I.M.のオミールさんがスタッフになったり、現在も登録者数4.94万人のYouTubeチャンネル「2nds-セカンズ-」を主催するダナヲさんが在籍中。加藤さんの人柄が才気あふれる若者を引き寄せているようだ。
ダナヲさんはスマホコードでおなじみのトポロジーの店舗スタッフなどを経て、2023年2月からチェリーラヴィルで働くように。「古着の知識はないんですが、タグとか年代にとらわれずに、かわいげのあるものを提案できたらいいなと思っています」(ダナヲ)。長身でボーイッシュな古着をサラリと着こなすセンスは男子のお手本にもなる!
吉祥寺 cherry loville
(チェリーラヴィル)
RECOMMENDED ITEMS
以前は加藤さんが自らアメリカに買い付けに出かけたが、最近は現地のバイヤーから送ってもらう方法に。アメリカ古着が主軸で全体の8〜9割を占め、1〜2割ほどヨーロッパ古着もラインナップする。「年代やテイストは絞らず、自分やスタッフのフィルターだけを通して、いいと思ったものを選んでいます」(加藤)ということで、ダナヲさん、加藤さんがメンズノンノ読者におすすめしたいものをピックアップ。
1_透け感のあるジャケット
Norton McNaughton Petites(ノートン マクノートン プティ)というレディースブランドの古着ジャケットはダナヲさんセレクト。「くたくたの服が好きです。このジャケットもくたくたな感じで、生地に透け感があるのが素敵だなぁと。ゆったりとしたシルエットだから、Tシャツの上にカーディガン感覚でサラッと羽織ってほしい」(ダナヲ)
袷(あわせ)を見てレディースとわかるものの、リラックスしたサイズ感&メンズのカバーオール風デザイン。ウッドボタンとベージュでナチュラルなムードながら、決め手はラフな格子織り生地の透け感だ。リネン混素材のテクスチャーも春夏向き。
2_エディ・バウアーのハンティングベスト
こちらもダナヲさんセレクトのエディ・バウアーのベスト。「袷はメンズですが、こちらもレディースの商品です。フロントのデザインや色褪せた感じがいいなと思って選びました」とダナヲさん。薬莢(やっきょう)入れが付く本格的なデザインだが、メンズにはないものだと加藤さんが補足してくれた。ショート丈でレイヤードがしやすそう。
タグから80年代から90年代のものとわかるが、「ほかの古着屋だったらもっと値段が張るはず。どうしてこんなにお手頃な価格なんですか?」と泉さんが尋ねると「できるだけ失敗しても後悔しない価格設定にしています。たくさん失敗しないと、おしゃれにならないじゃないですか」と加藤さん。この言葉に、その場にいた全員が「素敵です!」と感動。
3_ギャップのラインロンT
ギャップのライン入りロンTは、加藤さんがこだわってセレクトしている商品。「配色も含めて、この時代らしいデザインだと思ってピックアップしています」(加藤)。フロントだけでなく袖にもラインが入っているのがポイント。1枚でサラッと着て、Y2K感が盛れる一着だ。
4_パタロハのアロハシャツ
パタゴニアのアロハシャツのレーベル、パタロハのシャツも加藤さんのチョイス。「パタゴニアは若い人たちに人気です。チェリーラヴィルでは年代にこだわらず、最近のものから着やすいデザインに絞っています」(加藤)。アロハらしからぬ大胆なグラフィックに加藤さんのセンスが表れている。
「白タグ」と呼ばれる2003年以降のパタロハのタグ。毎年いろいろな柄が登場するが、2トーンは珍しく、中でも白×黒は少ない。
5_『BATES MOTEL』の
オフィシャルフーディ
こちらはアメリカのテレビドラマ『ベイツ・モーテル』のオフィシャルフーディ。「1960年のヒッチコック監督の名作映画『サイコ』の主人公の少年時代を描いた連続ドラマのマーチャンダイズです。グラフィックやサイズ感がいいなと思いました」(加藤)。
オフィシャルのコピーライトがフロントのロゴ下に。ネオン管の文字をトリミングしたような凝ったグラフィックは、ストリートブランドがサンプリングしていそう。カルチャー系の古着も見つかるので、カルチャー好きはぜひ加藤さんにいろいろ話をきいてほしい(フィッティングルームにも超レアTが飾られている!)。
SHOP DATA
住所:東京都武蔵野市吉祥寺南町 1-15-1 吉祥寺オリエントマンション 2F
TEL:0422-43-0956
営業時間:13:00~20:00
定休日:基本無休
Instagram: https://www.instagram.com/cherryloville/
Photos:Kaho Yanagi
Composition & Text : Hisami Kotakemori
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