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おしゃれプロが推しの古着屋を紹介する連載。後編ではスタイリストアシスタント小野寺さんが注目したアイテムや、気になったジャージのセルフスタイリングを披露。大先輩スタイリスト・馬場圭介さんのスタイリングアドバイスにもフォーカス!
今興味のあるサッカールーツの
カルチャーを感じるコーディネートに挑戦
神宮前 COUNCIL FLAT 1
(カウンシル フラット ワン)
小野寺さんのCHECK POINT
もともと守備範囲の広い小野寺さんだが、大御所スタイリスト・大久保さんのアシスタントになってから、さらにファッションの世界が広がった。「古着と言えばそれまでアメリカ古着一辺倒でしたが、カウンシル フラット ワンでイギリス古着に出会って、とても新鮮に感じました」(小野寺)。
カウンシル フラット ワンには、ここの店主でもあるスタイリスト馬場圭介さんの私物コーナーもあり「どこまでが商品で、どれが馬場さんの私物か境界があいまいなところも面白いんですよね。オーナーの趣向や世界観が強烈に出ているお店が好きです」と、おっとりとした小野寺さんだが、熱く語る。
「いつもそのとき興味のあるものから見ていくので、どの位置からとかは決まっていません。最近はチェックパンツとか、サッカールーツのストリートファッションにも興味が出てきたので、サッカージャージも堀りたいと思います」ということで、まずは右奥のパンツコーナーへ。気になるアイテムを見つけては、買い付けを担当するスタッフの相澤 修さんに詳細を聞いて知識を深める。
ひとつひとつ手に取りたくなるものばかりだが、取りあえずお目当てのサッカーアイテムのコーナーへ。現在は入口を入って左手にサッカーシャツやジャージが並ぶ。ラックからひと際目立つラスタカラーのライン入りジャージを見つけると「これはザ・クラッシュのボーカル&ギターだったジョー・ストラマーが亡くなった後に設立されたジョー・ストラマー ファンデーション(ジョー・ストラマー財団/新進ミュージシャンをサポートする慈善団体)のマーチャンダイズです」と、相澤さんが教えてくれた。
ジャージを試着してみると、馬場さんが「ジャージ1枚じゃ寒いだろう? 例えば、こういうジャージの上にジャケットを羽織ってみるとか」と、おすすめジャケットを着せてくれた。自分では思いつかなかった組み合わせに感動する小野寺さん。
さらに「その上にM-51(モッズパーカ)を着てみるとか」と斬新なレイヤードの提案が。どんな文脈か尋ねると「80年代にバッファローのレイ・ペトリがやっていたようなスタイリングです。スポーツウエアに英国伝統服を合わせたり、ミリタリーをミックスしてモダンに着こなすというアイデアですね」と解説してくれた。
バッファロー(Buffalo)は80年代に『i-D』『THE FACE』『ARENA』といったファッション媒体を中心に、イギリスで活躍したクリエイティブ集団。その中心にいたのが伝説のスタイリスト、レイ・ペトリだ。「今のハイブリッドなファッションの先駆者ですか…?」と小野寺さんが訊くと「最近だとイブ・カマラ(Ibrahim Kamara、通称Ib Kamara/スタイリストにして英国『DAZED』誌の編集長やオフホワイトのアート&イメージ・ディレクターを兼任)が、そういう感じのいいスタイリングをするよね」と、ファッションの勉強になることをさらりと言う。
最後はカウンシル フラット ワンで必ずチェックする、缶バッジやピンズ。「自分でスタイリングをするときに使うことが多いんです。入口や店内のトレイに置かれた買い得なモノを買うこともありますが、スペシャルなものはファイルにまとめられていて、仕事で使いたいときは、それを見せていただくこともあります」(小野寺)。
コレクターから買い付けることも多いそうで、デヴィッド・ボウイをはじめ、人気アーティストの希少品がズラリと蒐集されている。小野寺さんはアーティストの写真入りバッジが好みだとか。このあたりは動画でぜひとも見てほしい!
神宮前 COUNCIL FLAT 1
(カウンシル フラット ワン)
小野寺さんが気になったアイテム
「最近は古着を見るポイントもだいぶわかってきて、直感を大切にしていますが、いいものが選べるようになってきました」と小野寺さんが言う通り、お目当てのジャージをはじめ選んだ3点はどれも希少な優品だった!
1_ラスタカラーのジャージ
ラスタカラーの切り替えがインパクト大のジャージは、胸にジョー・ストラマーのシルエットをデザインしたワッペンが付く。「最近、レゲエをよく聞いていることもあって、このジャージがパッと目に飛び込んできました。レゲエのミュージシャンも、よくジャージを着ていますよね?」(小野寺)。ファッションのインスピレーションはアーティストが多いそうだ。
胸のワッペンにはJOE STRUMMER FOUNDATIONの文字とともに熱いメッセージが。ファスナーのタブも同じラスタサークル&スターモチーフと凝っている。「Tシャツなどはよく出るんですが、ジャージは珍しくて。しかも素材も通常のジャージとは違っています」(相澤)。
2_アディダスのスリーストライプスジャージ
トリコロールカラーのスリーストライプスが映える、クリーンなムードのジャージ。「これもアディダスにしては意外な赤×青×白の配色と、背中の“GREAT BRITAIN”プリントに惹かれました。馬場さんのアドバイスに倣って、トレンチコートのインナーにシャツ風に合わせるとか、よさそうです」(小野寺)。
小野寺さんが気に入った大胆なバックプリントがこちら。胸にもユニオンジャックとともに“GREAT BRITAIN”の文字が。「これはアディダスが2002年に復刻した1970〜80年代のイギリスチームのオリンピックジャージです」と相澤さんが教えてくれたように、どこかレトロなデザインが今のトレンドにマッチする。
3_ダウンプルオーバージャケット
落ち着いたイエローやひかえめなロゴパッチも上品な英国アウトドアブランド、ラブ(Rab)のプルオーバー型ダウンジャケット。「これも色が素敵だなと思って出してみたら、ダウンには珍しいプルオーバー型だったので選びました。イギリスのアウトドアブランドはあまり知らないので、そのあたりも気になって」(小野寺)。
1981年に始動したラブは、日本にも上陸している玄人好みのアウトドアブランド。「ブランドのロゴパッチのデザインも現在とは違っています。本格的アウトドアブランドらしく、右サイドは脱着しやすいようファスナーで開く仕様になっているんですよね」(相澤)。
神宮前 COUNCIL FLAT 1
(カウンシル フラット ワン)
小野寺さんのセルフコーディネート
サッカーではないものの、今いちばんハマっているレゲエのムードを感じるジャージに出会った小野寺さん。相澤さんにコーディネートするためのアイテムをあれこれ相談しつつ、「最近よく聞いている、ボブ・マーリーやリー・ペリーのファッションを参考にコーディネートしてみました」ということで完成したのが、こちら。
「胸のワッペンにロックっぽさがありつつもレゲエのアーティストが着ていそうな印象があったので、これは個人的にも欲しいです。コーディネートはボブ・マーリーがサッカージャージに黒い細身のジーンズを合わせていたイメージで、UKのブラックリーバイスをチョイス。ニットキャップやスニーカーは完全に色で合わせました」(小野寺)。全身古着ながら旬のブロークコアスタイルが完成。
レッド×イエローの強烈な配色のアディダス スピリトゥス スペツィアルも、黒ベースのコーディネートの足元に入れることで見事にハマった。「最初はチェックパンツとのコーディネートを考えたんですが、やっぱりこっちかなと思って」(小野寺)。シンプルだがエッジがきいた、カルチャーを感じる着こなしに仕上がった。
ちなみにザ・クラッシュは初期のパンクシーンを代表するバンドだが、レゲエのリズムを取り入れた楽曲で音楽性も高く評価された。そんな経緯もあってのラスタカラージャージなのではと推測される。
取材を終えて
「ふだん見慣れないUK古着を、馬場さんや相澤さんにいろいろ教えていただきながら、見ることができるのがカウンシル フラット ワンの魅力です。お二人ともとても優しく、ファッション、カルチャー、音楽のことを教えてくださるので、また来たいと思うんですよね」(小野寺)。
最後に「もう少し勉強して帰ります」と小野寺さんが言ったように、見ていて「知りたい!」と知識欲を刺激されるものが多い。ファッション専門学校の学生も馬場さんを慕ってくる人が多いとか。UK好きはもちろん、ただファッションが好きというだけという人も、絶対足を運ぶべし!
詳細は動画でチェック!
同じ師匠に師事するおっとりした末っ子弟子・小野寺さんの店内回遊に、長男弟子の馬場さんが突っ込む場面も!? 馬場さんのスタイリング指南や相澤さんの古着愛が感じられる動画は必見!
SHOP DATA
住所:東京都渋谷区神宮前2-23-1
営業:平日12:00~19:00
TEL: 03-6807-0812
定休日:不定休
Instagram:@councilflat_tokyo
Photos:Kaho Yanagi(still)Yumi Yamasaki(movie)
Movie Edit:Yuuki Hayashi
Composition & Text : Hisami Kotakemori
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