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おしゃれプロが推しの古着屋を紹介する連載。大御所スタイリストのアシスタント、小野寺 陸さんが、UKファッションの生き字引とも言われるスタイリスト馬場圭介さんのヴィンテージショップへ。古着だけでなく、イギリスのカルチャーやファッションも学んでいる!
外観からして異色のUKカルチャーに
特化した英国古着の専門店
SHOP PROFILE
原宿の喧騒を離れた神宮前と千駄ヶ谷の境、ロンハーマン千駄ヶ谷店のすぐ近くというロケーションのカウンシル フラット ワン。映画『さらば青春の光』『THIS IS ENGLAND』のポスターや、店名を黒テープで貼ったパンクのDIY精神を感じる店構えからも、UKカルチャーにフォーカスしていることがわかる。英国好きの間で有名なこのヴィンテージショップは、入口の立て看板でもわかるように、スタイリスト馬場圭介さんのお店だ。
2018年5月に馬場さんのオフィスを、英国古着に特化したヴィンテージショップとしてオープンした。買い付けを担当するのは相澤 修さん。二人は原宿のキャットストリートに店を構える英国ブランドの店頭イベントをきっかけに知り合い、カウンシル フラット ワンを出すことに。ちなみにカウンシル フラット(COUNCIL FLAT)とはイギリスの公営住宅のこと。
旬のサッカーシャツからUKストリートファッションに欠かせないミリタリーアウター、スキンズのトレードマークでもあるドクターマーチンブーツなどカルチャーを感じるアイテムはもちろん、フェアアイルセーター、スクールジャケット、ウェジウッドの陶器など、英国の伝統的なアイテムもラインナップしている。買い付けはすべてイギリス。ロンドンだけでなく、地方都市やコレクターからも買い付けるなど、商品の層は厚い。
神宮前 COUNCIL FLAT 1
(カウンシル フラット ワン)
STAFF PROFILE
ストリートからモードまで守備範囲が広い小野寺さんはスタイリスト大久保さんの事務所に入ってから、それまでとは違う“正統派”の古着屋に通うようになった。馬場さんの師匠が大久保さんという縁もあって、アシスタントになった頃からカウンシル フラット ワンにも足を運んでいる。「アメリカ古着ばかり見ていたのですべてが新鮮だったのはもちろん、お店の世界観に圧倒されました」(小野寺)。
馬場さんは1986年から1988年までイギリスで暮らし、UKのストリートファッションや音楽が世界を席巻した時代をリアルに体験した経歴の持ち主だ。帰国後はスタイリストとしてUKファッションを軸に活躍し、自身のブランドも展開するなど、現在も第一線を走り続けている。オフィスを兼ねていることもあって、店内に馬場さんが滞在していることも多い。
「日本はアメリカの古着が強いけれど、カウンシル フラット ワンでは自分がスタイリングでも使いたいと思うようなイギリスの古着をピックアップして、いろんな人に英国古着の魅力を伝えたい。店には若い子たちもたくさん来るので、僕が知っているイギリスのいろいろな知識を話すことも多いです。彼らは教えると興味がわいて、自分でも調べたり掘ったりしていくので面白いよね」(馬場)。
相澤さんは原宿の古着店に勤めてヨーロッパ古着への造詣を深め、2004年に独立して自身の古着店をオープン。やがてイギリス古着にどっぷりとつかり、2018年に馬場さんと出会ってカウンシル フラット ワンに携わることに。買い付けは相澤さんが渡英してハンドピックしており、また古着業界に20年以上いるという経歴もあり、ヴィンテージに関しての知識は膨大だ。
神宮前 COUNCIL FLAT 1
(カウンシル フラット ワン)
RECOMMENDED ITEMS
馬場さんの店ということもあり、スキンズやロッカーズなどUKストリートファッションにまつわるヴィンテージの充実ぶりは目を見張る。一方で、最近話題のサッカーシャツやアウトドアアイテムもイギリスカルチャーの視点でセレクトしているのがユニークだ。「できるだけ珍しいモノを、あくまでファッションとして選んでいます。1940年代のヴィンテージもありますが、新しいものも多いです」(相澤)ということで、おすすめ5選も振り幅が広い!
1_イングランド代表の
アンブロ製サッカーシャツ
ブロークコアのトレンドで脚光を浴びるサッカーシャツ。「うちではカジュアルズの流れでオープン当初からピックアップしていましたが、最近の盛り上がりもあって力を入れています」(相澤)。こちらは2002 FIFAワールドカップのイングランド代表のユニフォーム。「当時のスター選手、デビッド・ベッカムが着ていたことでも人気があります」(相澤)。
参考までに、「ブロークコア」はイギリス英語の「一般男性」を意味するスラング「ブローク(Bloke)」に、「ノームコア(Normcore)」を組み合わせた造語で、近年盛り上がるサッカーのユニフォームなどを取り入れたファッションのこと。カジュアルズはイギリスのサッカーカルチャーから生まれた80年代のストリートスタイルだ。
胸に英国チームの「スリーライオンズ」のエンブレム、襟首には英国国旗「セント・ジョージ・クロス」のプリントも。半袖に比べて長袖は数が少ないこともあり、価格が高騰しているそうだ。
2_バーグハウスの中綿ジャケット
バーグハウスは本気クライマーにも愛されるイギリスのアウトドアブランド。「オアシス時代にリアム・ギャラガーが、バーグハウスのアウターを愛用していたことは有名です。この中綿ジャケットは現在もアップデート版が展開されている“ICE CAP(アイスキャップ)”の初期型でMade in Englrand」(相澤)。
レトロでありながら今のトレンドにもマッチする、美しいブルー系カラー。ポケットのロゴネームにもヴィンテージらしい風情がある。
3_ロッカーズ仕様のライダースジャケット
ロッカーズは1950年代に誕生したイギリスのバイカーファッション。「イギリスのレザーブランド、マスコット(MASCOT)のもので、ロッカーズのカスタムが見事です」(相澤)。マスコットのヴィンテージ革ジャンはロックミュージシャン御用達としても知られ、日本では昨年末亡くなったチバユウスケさん(The Birthdayのボーカル&ギター)も着ていたそうだ。
ロッカーズを象徴するのがスタッズやワッペンで、チーム名や愛車のブランド名を入れたライダースジャケット。背面には「ROCKERS」の文字とロッカーズ御用達バイクメーカー「BSA」の凝ったスタッズワークが。ウエスト部分や袖口にもさまざまなスタッズがあしらわれている。
両袖にもしっかりとワッペン&スタッズの装飾が。「ロッカーズスタイルのライダースもコンディションのいいものが年々出なくなっています。サイズが合ったら、(多少値段が張っても)絶対に買っておいたほうがいい」と、相澤さんがアドバイスしてくれた。
4_スキンズ仕様のドクターマーチンブーツ
UKストリートファッションにマストなドクターマーチンブーツ。中でもスキンズが好んだ10ホールブーツを集めている。「白いシューレースをストレートバーで通すのがスキンズ流なので、カウンシル フラット ワンではこのスタイルで出しています」(相澤)。
ベンシャーマンのシャツにサスペンダーでリーバイスのジーンズを合わせ、ロールアップしてドクターマーチンを履き、MA-1を羽織るのがスキンズの定番スタイル。ストレートバーで余ったシューレースは、足首部分に巻きつけるのもお約束だ。
5_ブリティッシュワックスド
コットンジャケット
バブアー人気の影響でヴィンテージ市場でも注目を集めるワックスドコットンジャケット。イギリスではバイカージャケットとして親しまれ(バブアーも当初はバイカー御用達ブランドだった)、ノーブランドのものも多い。このベルテッドジャケットも然り。「ライニングにタータンチェックのフランネルを使っているのも英国的でスタイリッシュです」(相澤)。
胸ポケットのピンズは90’s~00’sのものだが、ジャケットそのものは70’sのヴィンテージ。「ピンズは買い付けたときにすでについていたそのままです。バブアーやベルスタッフのようなブランドものだと高額になってしまいますが、ノーブランドだからその3分の1くらいの価格でかなりお買い得」(相澤)。
両脇には金具パーツのベンチレーション、ショルダーパッチやエルボーパッチも付いたタフなルックスも魅力的だ。
【後編】では
スタイリストアシスタント小野寺さんが
気になったアイテムやコーディネートを紹介!
SHOP DATA
住所:東京都渋谷区神宮前2-23-1
営業:平日12:00~19:00
TEL: 03-6807-0812
定休日:不定休
Instagram:@councilflat_tokyo
Photos:Kaho Yanagi
Composition & Text : Hisami Kotakemori
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