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おしゃれプロが推しの古着屋を紹介する連載の第8回。後編では若手スタイリスト、荒幡さん好みの「パンチの効いた古着」をピックアップ。強烈なアイテムどうしも荒幡マジックで、しゃれたコーディネートに。そのテクニックをご覧あれ!
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スタイリスト
荒幡征諄 さん
東京都出身。文化服装学院を卒業後、スタイリスト二村 毅さんのアシスタトを5年勤め、今年6月に独立。かつてはデザイナーズブランドを愛用していたが、現在は古着を着る毎日。ストリートカルチャー全般に興味があり、勉強中。
今の服にはない古着特有のデザインを
サラッと普段着に落とし込む
下北沢 BETTER(ベター)
荒幡さんのCHECK POINT
学生の頃から、デザインの効いた服が好きだった荒幡さん。スタイリストアシスタント時代に、ベーシックな服をカスタムして着る楽しさに開眼した。古着の興味もヴィンテージからレギュラー古着へと移るが「激しいデザインが好き」という嗜好は変わっていない。
「前回来たときは夏まっさかりだったので、今日はアウターで激しいものがあったら買いたいなと思っています!」と張り切る。ベターに到着すると、まずは店の奥にいる松崎さん、守田さんに挨拶して、入口付近から商品を見ていく。
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最初に手に取ったのは真っ赤なパーカ。「これ気になるっス」とラックから取り出すと「サイズも大きそうだから、僕でも着られるよね。両サイドにポケットがあるのも、ポケット大好き倶楽部の僕的には最高ですね! このチロリアンテープも絶妙にかわいい!」とテンション高めの荒幡さん。「それは60’sから70’sのスキー系アウターみたいですよ。タロンジップが付いていて年代がわかるんですが」と守田さんがすかさず詳細を教えてくれる。

その後も「コレ、ハンパない!」とバティックプリントの派手柄シャツを見つけたり、かと思えば、A.P.C.のシンプルなホワイトブルゾンをピックアップしたり。店舗をあちこち行ったりきたり、目に入った情報から直感的に「自分好み」を見つけていく。
店内をあちこちチェックしつつ「何かおすすめある?」と、守田さんにアドバイスを求めることも忘れない。荒幡さんの前回来店以降に入荷したアイテムから、次々とおすすめも提案する守田さん。「このポロのブルゾンとかどう?」と守田さんが商品を選ぶと、「おー。メチャクチャカッコイイね」と商品を細やかに見て、ときに試着をして自分に合うか合わないかを見極める。
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ひと通りアウター関係を見た後は、パンツのラックもくまなくチェック。「ゴリラカットあります? パンツは太ければ太いほどいいんで(笑)」とゴリラカットのサイズ40を物色したり、松崎さんにパッチワークのジーンズを提案されると「この無駄なパッチワークがいいんですよね。男のロマンだ!」と、ポエティックなコメントも。
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ベターが推す90’sストリートカルチャーのコーナーでは、目ざとくシュプリームのチェッカーブルゾンもピックアップ。「コレ、ハンパないっすよね、シュプリームのMA-1。チェッカーとセージグリーンのリバーシブルは今まさに最高のコンビネーション。自分で着るなら断然チェッカーサイドですけどね」と脳内でコーディネートを膨らませる。
松崎さんにおすすめを尋ねては、自分が知らないカルチャーを知るのがまた楽しいようで、興味津々に話を聞く(このあたりのやりとりはぜひとも動画で見てほしい!)。
下北沢 BETTER(ベター)
荒幡さんが気になったアイテム
松崎さん、守田さんとの情報交換もひと通り済み、コーディネートしたいアイテムも固まった荒幡さん。「これキープしておいてください!」と本気で取り置きモードに入ったのはこの3点。
1_ローファイなコットンパーカ
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「まず色がいい! 赤、大好きです(笑)。そして手の込んだチロリアンテープ風の飾り。サイズが大きい点ももちろん高得点」と荒幡さんがベタ褒めすると「チロリアンテープがピースマークに配置されているのも70’sっぽいよね」と松崎さんが教えてくれた。フォークロア×反戦と、ヒッピーカルチャーを凝縮したような一着だ。
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荒幡さんが気に入ったもうひとつのポイントがこの大きなポケット。「洋服にポケットが付いているかいないかは、とても重要っス。ポケットがあるだけで、使い勝手がだいぶよくなるんで!」(荒幡)。アウターだけでなく、シャツのようなアイテムでも必ずチェックするポイントだそうだ。
2_男のロマンを感じるパッチワークデニム
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松崎さんに紹介されて荒幡さんのハートを射抜いたジーンズ。「このごちゃごちゃ感が最高。そこここに切り替えが入っていて、しかも後ろは左右の色が違うという。デニム生地が薄手だからウエストを絞ってはきやすいのもよくて、レングスもジャスト・マイ・サイズ! 買います!」(荒幡)。
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ポエティックなコメントが飛び出したのはこのジーンズ。「やる必要のないヒップポケットの無意味なパッチワークに魂を感じる」とツボに入った様子で「これ絶対買います!」と取り置いた一本。ちなみにakademiks(アカデミクス)はヒップホップシーンで人気を集めるアメリカのストリートデニムブランド。
3_バティックプリントシャツ

「アロハのように見えて実は鞄柄というのがすごくないすか? ドキドキしちゃう(笑)」とこれも店内を見始めてすぐにチェックしていたシャツ。「バティックプリントというだけでもヤバいのに、襟やフロントに刺しゅうが入っているんですよ」(荒幡)。
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襟を一周する白いビーズ調の刺しゅうとポケット部分にはブルーのマジックハンド(昭和のレトロ玩具)のような刺しゅうが。今の技術でつくろうとすると高額になってしまうクラフト系のアイテムが、買いやすい値段で出ているのも古着ならでは。
下北沢 BETTER(ベター)
荒幡さんのセルフコーディネート
「激しいアイテムが好き」というコメント通り、インパクト大な2アイテムでコーディネートを組んだ荒幡さん。アウターや小物を足して、街で着られるスタイリングに。
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「バティックシャツとパッチワークジーンズ、どちらも激しい感じですが、同系色だから青のグラデーションになって派手さが抑えられます。この秋はジャケットも着たいと思っていたところ、このコーデを落ち着かせるのにちょうどいいブラックのカジュアルなジャケットを見つけたので、合わせてみました! ゆるさはありますが、肩のサイズを合わせることできちんと感が出て、シルエットもきれいに出ました」(荒幡)。この日履いてきたコンバースのオールスターがぴったりハマった。
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「ニットキャップはいろいろ迷いましたが、バティックに合わせてちょっとヒッピー感のあるデザインに決定。レインボーカラーを黒リブがいい感じに抑えてくれていて、バッグ柄とも好相性でした」(荒幡)。本人のロンゲキャラにもマッチしつつ、どこか今っぽさもあってお見事。
取材を終えて
「きょうもいろいろ収穫がありました! 実は先週も来たばかりだったんですが、だいぶ秋っぽい品揃えになっていたし、ロマンを感じるデニムにも出会えたし。赤いパーカも8割くらい買う気になっています。いつ来てもツボなアイテムが見つかるんですよね」(荒幡)。
気心の知れた友だちの店ということで、終始リラックスした取材だった。松崎さんも守田さんもとても頼りになるスタッフだから、初めての人でもきっと興味深い情報が聞けるはず。ぜひともベターで古着談話を楽しんでほしい。
詳細は動画でチェック!
明るいキャラの荒幡さんは会話のテンポもよく、自己流のチェックポイント解説も面白い。松崎さん、守田さんの古着知識も盛りだくさんな動画は、必見だ!
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SHOP DATA
住所:東京都世田谷区北沢2-19-16 コスモ北沢ビル1F
TEL:03-6450-8399
営業:12:00~20:00
定休日:無休
Instagram:https://www.instagram.com/better_shimokita/
WEBサイト:https://better.official.ec/
Photos:Yumi Yamasaki(still & movie)
Movie Edit:Yuuki Hayashi
Composition & Text : Hisami Kotakemori
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