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おしゃれプロが推しの古着屋を紹介する連載の第8回。今回はかつて本誌の服バカ特集に登場した経歴を持つ、新人スタイリストの荒幡征諄さん。友人が働く下北沢の古着店、ベターが行きつけということで、同行してきた!
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スタイリスト
荒幡征諄 さん
東京都出身。文化服装学院を卒業後、スタイリスト二村 毅さんのアシスタトを5年勤め、今年6月に独立。かつてはデザイナーズブランドを愛用していたが、現在は古着を着る毎日。ストリートカルチャー全般に興味があり、勉強中。
90’sのストリートカルチャーにも
力を入れる玄人受け抜群の人気店
下北沢 BETTER(ベター)
SHOP PROFILE
下北沢南口商店街の通り沿いに店を構えるベター。千葉県の古着屋の系列店として2017年の11月にオープンした。もともと千葉店のスタッフだった松崎太樹さんが店長に就任。バイイングも担当して、松崎さんが好きなヒップホップやR&Bなど音楽系とスケードボード、90’sのストリートカルチャーをひとつの柱として打ち出すように。

2018年に守田大悟さんがスタッフに加わると、守田さんが好きな50’s~60’sのヴィンテージアイテムも徐々にラインナップ。レギュラー古着をメインにしつつ、ところどころにヴィンテージ、そしてふたりの共通項でもあるラルフ ローレンといったアイテムが加わり、現在の商品構成が完成した。
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縦長の店内は手前にラルフ ローレンのラック、間にヴィンテージを並べる一角があり、一番奥には90’sを筆頭に、ストリート系のアイテムを一堂に集めたコーナーが。ベターはザ・アメカジというベーシックなものよりも、デザインが入った古着を多めにセレクトしているそうだ。
下北沢 BETTER(ベター)
STAFF PROFILE
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荒幡さんは専門学校時代から守田さんと交流があり、守田さんがベターで働きはじめたのがきかっけで下北沢に来たときは立ち寄るように。スタイリストのアシスタントになった時期とも重なり、動きやすくて、汚れたりしても気にならない服装にシフトしていたため、ベターで買った古着をヘビロテするようになっていった(この日のゼブラシャツもベターで購入)。
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やがて兄貴世代の店長・松崎さんとも親しくなり、今では古着談義に花を咲かせる間柄に。松崎さんも守田さんも自分の個性に合う古着をサラッと着こなしていて、雰囲気がある。古着カルチャーに対する知識も豊富で話題に事欠かず、今回の取材も多いに盛り上がった。ちなみにこの日はふたりともパジャマシャツ姿で、どことなくユニット感が。
下北沢 BETTER(ベター)
RECOMMENDED ITEMS
松崎さんと守田さんのふたりのセンスで古着激戦区の下北沢でも頭ひとつ、抜け出しているベター。大御所スタイリストや人気YouTuberが通うのも納得のセレクトは、ふたりが選んでくれたこの5選に集約されている。
「僕が好きなブラックカルチャー系は推したいTシャツ類を、守田が好きなヴィンテージからもコンディションのいいシャツをピックアップしています。この秋はラルフ ローレンのアウターも充実しているので、ぜひ見にきてください」(松崎)。
1_パブリック・エネミーのホッケーシャツ
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初期のヒップホップシーンを牽引した社会派ラップグループ、パブリック・エネミーの公式グッズでレアなホッケーシャツが。「ラップTは多いんですが、スポーツもののトップスはなかなか出ません。しかもホッケーTシャツなのに、MLBのフィラデルフィア・フィリーズのロゴをサンプリングしているのも面白いですよね」(松崎)。配色も含めて超今っぽい一着だ。
2_ルーサー・ヴァンドロスのツアーTシャツ
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90年代にジャネット・ジャクソンと共演してヒットを飛ばしたことでも知られる黒人R&Bシンガー、ルーサー・ヴァンドロスのツアーTシャツ。「好きな人には響くルーサー・ヴァンドロスの90年代のツアーTです。なんとロシア製。サイズはXXLでコンディションも良好なので、高値になっています」(松崎)。

アンジー・ストーン、ジェラルド・レヴァートとの共演で、3名のポートレートが前後に。アメリカだけでなくUKを回ったツアーの地名もプリントされている。ロックTやラップT以外にも名品Tシャツはいろいろあるので要チェック。
3_ブリーチ・タイダイ・ダメージ501
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ブラウン~ピンク系のタイダイカラーとダメージが今のモードにリンク。「90年代のアメリカ製リーバイス501をブリーチしてタイダイして、しかもダメージまで入っている。希少なトリプルカスタムジーンズです。少しピンクがかった色味も、今年っぽくてよいのかなと思っています」(守田)。
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リーバイス501の紙ラベルが付き、ヒップポケットにはアーキュエットステッチもしっかり残る。90年代まで生産されたMade in USAのリーバイス501も近年、ヴィンテージとして価格が上がってきているだけに、これと思うものは見つけたら買いだ。
4_50’sのレーヨンシャツ
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50’sらしい幾何学模様が目を引く、レーヨン素材の長袖シャツ。「50’sを代表するレーヨン素材のオープンカラーシャツですが、年々、コンディションのいいものが出なくなっています。通常は半袖で長袖は希少ですし、50’s特有でありながら、モダンに見えるこの柄も得難いですよね」(守田)。
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襟元の織りネームも50’s独特の筆記体文字。プリントもヴィンテージアロハのように、当時ならではの手法が用いられている。レーヨンならではの自然なドレープも魅力だ。
5_ポロ ラルフ ローレンのレザーコート
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レザーでキルティングという凝った仕様のショートコート。「ラルフ ローレンらしい、ミリタリーアウターをサンプリングしたデザイン。レザーでキルティングというだけで、ものすごく手が込んでいます。ブラウン系カラーは最近のトレンドと親和性も高い色。この秋、推しています」(松崎)。
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襟元にはチンストラップを兼ねたレザータブがあり、襟を立てて着ることもできる。レザーがリバイバル中だが、この価格で、しかもキルティング仕様が買えるのも古着の醍醐味だ。
【後編】では
スタイリスト荒幡さんが気になったアイテムや
コーディネートを紹介!
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SHOP DATA
住所:東京都世田谷区北沢2-19-16 コスモ北沢ビル1F
TEL:03-6450-8399
営業:12:00~20:00
定休日:無休
Instagram:@better_shimokita
WEBサイト:https://better.official.ec/
Photos:Yumi Yamasaki
Composition & Text : Hisami Kotakemori
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