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おしゃれプロが推しの古着屋を紹介する連載の第5回。リベラルのセレクトの振り幅の広さを伝えた前編に続いて、後編ではスタイリスト泉敦夫さんと稲井が選んだアイテムとコーディネートを紹介する。ふたりの掛け合いが楽しい動画も必見!
気になる服のカルチャーも考えて
コーディネートを組み立てる
高円寺「リベラル」
泉さんのCHECK POINT
店を入ってすぐ左手にあるパンツのラックからスタートして、左回りで一周、店内をくまなく見るという泉さん。この日もそのルーティーンで古着をチェック。置いてあるものがそうなのか、ふたりの視点がそうさせるのか? リーバイスのフューチャリスティックなTシャツやら藤原ヒロシさんの今はなきブランドものまで、次から次へと「こんなのあるんだ!」という古着をピックアップする(その様子はぜひとも動画でチェック!)。
まずはパンツのラックから「今ディーゼル熱いよね!」と泉さんがジーンズをピックアップして、デニム談義が盛り上がると次はTシャツやジャージを掘る。「シャカシャカ系やジャージのスポーツアウターって、どう着たらいいかわらかなくて」と稲井が打ち明けると「デニムでもスラックスでも、シャカシャカパンツ以外なら、何を合わせてもいいと思うよ」と泉さんがアドバイス。
懐かしいアイテムを見つけては自分の思い出を語ったり、稲井に合いそうなものを見つけるとすかさず体に当てて、サイズ感を確認する泉さん。「これはベンデイビスのゴリラカットかな?」とフィッティングして確認していると、小林さんが「それは通常のストレートですね」と答えてくれる。豊富な知識であれこれ解説してくれる小林さんと泉さんとの会話に稲井は耳を傾け「勉強になります」と楽しそう。
じっくりチェックしながらレジ前のスポーツブルゾンのラックに到着すると「このゾーン、好きなのよ」と泉さんが過去にお宝を見つけたエピソードを披露。目ざとく欲しいアイテムをピックアップ。「これなんかシルエットもいいし、スポーツ用とは思えないよね」(泉)。
その隣のシューズコーナーでも「これは?」と思ったシューズを次々と手に取って確かめる。「ティンバーやヴァンズのみたことない形がいろいろありますね」とひと通りチェックした後、「この近未来的なデザイン何?」と泉さんがグレー×レッド配色のスニーカーを見つける。話はつきることなく、店内を一周。1時間以上かけて、コーディネートしたいアイテムを決めた。
高円寺「リベラル」
稲井が気になったアイテム
「真剣に欲しい」と稲井が悩んだのはMade in Englandのハリントンジャケット。4XLというサイズ表記だが、試着してみるとちょうどいいサイズ感だった。最近、オーセンティックなものに惹かれていて、イギリスのストリートカルチャー「カジュアルズ(サッカー愛好者によるトラッドで小ぎれいなスタイル)」に注目していると話していただけに、まさにズバリのアイテム。
英国製ハリントンジャケット
「ブルーで裏地がチェックという配色もかわいい。スイングトップ的なものが欲しいと思っていたので、着回し幅も広そうですよね」と稲井が言うと「裾がリブになっているからダボダボしなくて、クリーンに着られるよね。ノーブランドと思えないほどつくりもしっかりしてる」と泉さんが太鼓判を押す。
クリスチャン ディオールのシャツ
入口の右側のラックにあったこのシャツは、店内一周の最後に見つけたもの。「モデルでスケーターの友人がめっちゃストリートなコーディネートに、トップスだけピシッとしたストライプのシャツを着ていたのが印象的で。このディオールのシャツはまさにそのイメージでした! 僕もそんな感じで着てみたい」(稲井)。
「ディオールだけでなく、ケンゾーとかラルフとか海外デザイナーものも意外にあったので、今度はそっちからチェックしてみるのもいいと思った」(泉)。前編のW.&.L.T.(ウォルト)のように、ハイブランドゾーンにもお宝が多い。
高円寺「リベラル」
泉さんが気になったアイテム
ついシャカシャカしているアウターを買ってしまいがちという泉さん。この日も懐かしのECKO UNLTD(エコーアンリミテッド)のブルゾンを見つけて「エモい気持ちになりました」と子どもの頃にデパートで見ていたという思い出を語ってくれた。
エコーアンリミテッドの
シャカシャカブルゾン
「袖に空気孔のようなパーツが付いていたり、両サイドのポケットがサークル状になっていたり、ギミックだらけのデザインにやられます」(泉)。試着した姿を見て稲井が「スラックスとめっちゃ合いますね。こんな風に着ればいいんだ」と感心する。
バランスウェアデザインのジーンズ
「10代の頃憧れていて、買えなかったブランドは古着屋で見ると当時の思いが蘇ってきていて、つい見入ってしまいます。このバランスウェアデザインのデニムもそんなアイテム。今見てもシルエットがきれいだし、最近ダメージデニムいいなと思っていたんで」(泉)。1999年に中目黒で始動したbalanceweardesign(バランスウェアデザイン)は2003年にブランド名をbal(バル)に改名。現在もストリートシーンで人気を誇る。
「ヒップにはbalanceweardesignの文字が描かれていて、遠くから見るとわかります」と小林さんが教えてくれた。「岡山発のストリートブランドで、デニムに定評があったんですよね」と泉さんはしみじみ。
バーグハウスのトレッキングシューズ
近未来的なデザインとソールの薄さに感動して手に取ったBERGHAUS(バーグハウス)のアウトドアシューズ。「アウトドアシューズなのに、ファッション性も感じるデザインだと思ったんです。試着してみたらサイズもぴったりで足袋のようなフィット感もすごくよかった」(泉)。
BERGHAUSは1960年代に誕生し、現存もクライマーに支持されるイギリスのアウトドアブランド。本気系のハイスペックな製品ゆえ、ファッションユースしている人は少ない。「細めのラストで靴にボリューム感がないので、スラックスなんかとも相性がよさそうです」(泉)。取材の最後に購入した、この日一番の掘り出し物。
高円寺「リベラル」
稲井におすすめのコーディネート
稲井が選んだハリントンジャケットを、稲井が気になったモノで泉さんがコーディネート。
日本ではトラッドな文脈で語られるハリントンジャケットを、ストリートスタイルでコーディネート。「稲井がカジュアルズの話をしていたので、イメージ的にはロンドンの不良。ステューシーのTシャツやディーゼルのジーンズに、稲井がきょう履いてきたヴァンズのハーフキャブだけだとスケーターなイメージ。でもそこに英国トラッドのハリントンジャケットを着ることでカジュアルズに近いスタイルになるよね」(泉)。
どれも気に入っていたアイテムだけに「このコーディネートを一式買いたいです!」と稲井が言うと「うれしいねー」と泉さん。息がぴったり合っていた。
高円寺「リベラル」
泉さんのセルフコーディネート
泉さんは自身のサイズよりビッグシルエットのエコーのシャカシャカブルゾンをチョイス。「着こなしのポイントとしては、そのまま着るとビッグなんで、裾をギュンギュンに絞ってブラウジングして着るのが今の気分です!」(泉)
キコ・コスタディノフのスラックスに黒のワラビーという落ち着いた私服が、エコーのブルゾンを引き立てる。「スポーティなブルゾンはスラックスやカジュアルレザーシューズで合わせると、ハズしとして効いていいんですよね」(泉)。
バックにcollapsing unitと書かれたポケットがあり「これはパッカブルですか?」と泉さんが尋ねると「そうですね。そのポケットに収納できます」と小林さん。このあたりも2000年代的だ。
「ちなみにインナーにはブラックピンクのTシャツを合わせました。アイドルのTシャツをコーディネートするのも今、気分かなと。気の抜けた演出にもなります」(泉)。アイドルTやアニメTも今古着で熱いジャンルだけに、お見事!
取材を終えて
いつもにもまして濃密な会話が繰り広げられた今回。稲井もリベラルのセレクトがかなり気に入った様子で「これから行きつけの古着屋として通いたいです!」とコメント。
「きょうは本当に楽しかったね。今回もスポーツ系のアイテムはもちろん、藤原ヒロシさんのMORE ABOUT LESS(モアアバウトレス)のような僕が知らなかった裏原系まで買い占めたいものだらけでした。また近いうち来ちゃうなー」(泉)。「僕もまた来ちゃいます。バッタリあったら、そのときは…」(稲井)。
Y2Kのトレンドにシンクロするアイテムも多かったので、2000年代の古着を見たいと思っている人はぜひ。
詳細は動画でチェック!
「楽しかったけど疲れたね」というぐらい全力で店内を物色したふたり。動画では漫才のような掛け合いが繰り広げられ、めちゃくちゃ面白いので必見!
SHOP DATA
住所:東京都杉並区高円寺南3-48-4
TEL:なし
営業:13:00〜20:00
定休日:無休
Instagram:@liberal_koenji
WEBサイト:liberal413.thebase.in/
Photos:Yumi Yamasaki(still & movie)
Movie Edit:Yuki Hayashi
Composition & Text : Hisami Kotakemori
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