▼ WPの本文 ▼
おしゃれプロが推しの古着屋を紹介する連載の第5回。今回は高円寺の古着屋通いが日常というスタイリストの泉 敦夫さんが、メンズノンノモデル稲井孝太朗とリベラルへ。2000年代の古着が豊富という商品構成が、トレンドとシンクロする!
自由で無国籍なセレクトの中に
今が旬のリアルクローズが
高円寺「リベラル」
SHOP PROFILE
古着屋が軒を連ねる高円寺の南口側、西友界隈のエトワール通りに路面店を構えるリベラル。2013年の4月にオープンして今年で10周年を迎えた息の長い古着屋だが、並んでいるアイテムのせいかどこかフレッシュな雰囲気がある。ガラス張りで通りから店内が見渡せ、入りやすいのも魅力だ。
最近はオーセンティックな古着がブームになっているが、リベラルに並ぶのは1990年~2000年代の比較的新しい年代のもの。アメリカ古着にまじってユーロものや日本のブランドなども散見し、店名の通り「自由」なラインナップ。オーナーが好きなものをランダムに選んでいるようで「時代」は意識しているという、その絶妙なバランス感覚が、トレンドとリンクするお宝が見つかる理由だろう。
スタイリストの泉さんは住まいから近いこともあって、高円寺の古着屋によく足を運ぶ。古着屋めぐりの際に必ず立ち寄る店のひとつがリベラルだ。
「3年ほど前から通いはじめました。愛用している古着の中にはリベラルで買ったものも多いですね。オーセンティックなものはありませんが、僕の好きな2000年代のスポーツブランドや裏原系ブランドがふとおいてあったり。見たことがないアウトドアウエアに出会えたりと、興味をそそられるセレクトなんです。稲井君が好きそうだと思って、きょうは誘ってみました!」(泉)。
稲井は目ざとくガラス越しに気になるアイテムを見つけ「きょうは連れてきていただいて、ありがとうございます!」と目を輝かせる。
高円寺「リベラル」
STAFF PROFILE
オーナーの小林敬梓さんは前橋文化服装専門学校の出身。アパレルブランドを経て高円寺の「クセの強い」古着店で働き、海外での買い付けも経験した。一時期、服飾の仕事を離れるが、2010年代初頭、モードの隆盛やファストファッションの台頭で古着が衰退する時代に直面。高円寺から古着屋が消えていくのを目の当たりにして、「高円寺で古着を盛り上げたい」と一意奮闘しリベラルをオープンした。
90年代のストリートファッションが盛り上がった時代に多感な時期を過ごしたという小林さん。この日もティンバーランドのブルゾンにLAブランドSOLOの極太デニム、ステューシーのキャップはいずれも90’sの古着というコーディネート。Tシャツはロスアパ、スニーカーはUSA製ヴァンズのベルクロ版オールドスクールと、西海岸よりのアイテムをワントーンで大人っぽく仕上げている。
高円寺「リベラル」
RECOMMENDED ITEMS
リベラルの商品は小林さんが「好きで見てきたモノ」と「時代の流れの中で今気になるモノ」で構成されている。
「最近は2000年代初頭のものが面白くて、ディーゼルのダメージデニムのように当時ブレイクしたものをピックアップしています。あとは去年から自分の中で迷彩ブームがきていて、変わり種を中心に集めています」(小林)ということで、リベラルの特徴や空気感が伝わる5点を選んでくれた。
ドットのように見えるのは、実はリフレクタープリントというテック系ブルゾン。「レトロフューチャーがトレンドになっていますが、90年代のこういったスポーツアイテムがそのネタ元だと思います。全面にハンドペイント風のリフレクターをプリントしたオリジナル生地なんて、なかなか考えつかないですよね? 今こういう生地をつくるのは難しいかもしれません」(小林)。スタイリスト泉さんも食いついたお値打ちアイテムだ。
アントワープ王立芸術アカデミー出身で、90年代にアントワープ6として脚光をあびたウォルター・ヴァン・ベイレンドンクが手がけたブランド、W.&.L.T.(ウォルト)のシャツ。「ネオンカラーの派手なコレクションやPUKPUK(パクパク)というキャラクターを使ったカラフルな服が有名ですが、トレンチコートとボーイスカウトシャツを融合したような、デザイン性の高いアイテムもつくっていました」(小林)。
袖にあしらわれたポップなロゴ飾りがこのブランドらしい。「当時欲しくても手が出なかったブランドで、思い入れもあるので、見つけたら買い付けています」(小林)。今ほどメゾンブランドが身近でなかった時代に、おしゃれ好きのユース層のハートを捉えていた。
こちらはイタリアンカジュアルブランドとして人気を博したMEETING(ミーティング)のヘンリーネックスウェット。「80年代にアメカジをイタリア流に解釈したイタカジブームというのがありました。その頃のアイテムだと思います。ヘンリーネックにデザイン性の高いロゴをプリントしているあたりが、アメカジブランドにはなないセンスですよね」(小林)
「わざとかすれさせたようなプリントを使っているところも凝っています」と小林さんが袖のプリントを広げて見せてくれた。ミリタリー調のフォントにも時代感が反映されている。
迷彩柄アイテムの中でも特にパンツが気になっているという小林さん。店の中央のテーブルには迷彩パンツが積み重なった一角もあり、こちらも泉・稲井コンビが掘っていた。「アウトドアから軍モノまで、迷彩柄は無数にあって、名前もついています。これはアウトドアブランドのリアルツリーカモですが、同じツリーカモでもメーカーによって違っていたり。転写プリントには2000年代感があって、それもポイントです」(小林)。
DKNY(ディーケーエヌワイ)はアメリカのファッションデザイナー、ダナ・キャランのカジュアルラインとして1985年にスタート。ロゴアイテムが90年代にブレイクした。「ライトグレーのネインイエローの配色が今っぽいし、この形も新鮮に感じました。当時自分が気にしてなかったからなのかもしれませんが、最近DKNYも気になっています」(小林)。
スクエアなシェイプのファスナーオープン仕様で、開けると中がネオンイエローというY2Kズバリなデザイン。現行品にはありそうでなくて、「あったらいいな」というバックパックだ。リベラルのセレクトの振り幅の広さがおわかりいただけただろうか?
【後編】では
スタイリスト泉 敦夫さんと稲井が
気になったアイテムやコーディネートを紹介!
SHOP DATA
住所:東京都杉並区高円寺南3-48-4
TEL:なし
営業:13:00〜20:00
定休日:無休
Instagram:@liberal_koenji
WEBサイト:liberal413.thebase.in/
Photos:Yumi Yamasaki
Composition & Text : Hisami Kotakemori
▲ WPの本文 ▲