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トレンドをいち早くキャッチしながら自分のこだわりも譲らず、攻めたスタイルに果敢に挑戦する「服バカ」たちの主張は、我が道を行くから面白い! 愛ゆえに服を買いすぎてしまう男たちの、偏愛コレクションからお宝まですべて見せてもらって、自由で旬なスタイルを大解剖。
服でつながるのが服バカ流
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都築 今日は憧れのレイジくんにようやく会えました!
レイジ インスタグラムのDMでやりとりしたことはあったけど、会うのは初めてなんだよね! 去年の冬に都築くんのブランドを知って実際に着ると、こだわりが凝縮された服という印象を受けた。
都築 めちゃめちゃうれしい! ボリュームあるダウンを、ユニークなニットキャップや大量のストラップと合わせてたのが、すごく似合ってましたね。
レイジ でも実は僕、メンズ・レディースとか春夏・秋冬みたいなファッションの基本的なルールは全然わかってないんだよね。ひとまず人とかぶりたくはないから、DJ中にぶちかませるような服を着たり、作ったりしてます。
都築 ていうか右肩のヤギは何?(笑)
レイジ これぞ今季の気分。衿ぐりが2つあるシャツを、去年は片方から肩を出してオフショルダーとして着てたんだけど、今年はヤギを加えてネクタイも2本つけてみたら調子がいい!
都築 そのヤギこそが、今季の着こなしの要なんだね(笑)。僕は引き続き、古着にハマってます。ボロかったり雑にも見える生活感ある服を、ファッションとして成立させるのが面白い。例えばアンブロのジャージに、片足がちぎれたヴィンテージのコーデュロイのパンツの重ね着(上)。神戸の「楽園」という古着屋で買ったんだけど、スポーティとワークの異なるテイストをミックスするのが面白い。芸人仲間にはボロボロをイジられてるけど気にしてないです。
レイジ なるほど。僕もパンツをレイヤードしてるし(上)、なんだかスタイリングのテンションが似てません?
都築 いや。レイジくんのほうが強いけど(笑)。それ、本当にリアルな私服?
レイジ うん。ゴスの世界観にハマってるからレースのベルスリーブを選んでて、それが主張しすぎないようにいろんな要素を重ねるのが個人的に気持ちいいバランス。コラージュ感覚なんだよね。
都築 僕も夏はレディースのタンクトップを1枚で着たり、最近はスカートも気になってる。そのレース、自分なら武骨なデニムに合わせて着たいかも。
レイジ タフな服にも合うんだよね。革ジャンとレイヤードしたときに袖をチラッと出してもいい。ゴスから変形していったビジュアル系やデコラのノリが好きなんだ! 今日はいろいろ盛り込んだパターンだけど、このレースは普通にさらっとも着られる1枚だよ。
都築 攻めた着こなしは、昔の雑誌『フルーツ(FRUiTS)』が参考になるよね。
レイジ 僕もアーカイブを見てます!
都築 当時の服でいうと、メゾン マルタン マルジェラのアーカイブが大好き。複数のトップスをつぎはぎでひとつに再構築したTシャツやタンクトップは古着好きな自分にぴったり。古着の流行の起源は、お金持ちのように過剰に着飾るのではなく、普通の人の日常着こそイケてるよねっていうところにあると思うんだけど、マルタン マルジェラのデザインは、まさにその価値観なんだよね。
レイジ 価値観やカルチャーを着られるのが洋服の楽しいところだよね。
都築 当時の象徴的なアイテムであるペイントデニム(上)も、ある種、雑に見える合わせで着たい。シャツにジップスウェットに、ワーク感があるブーツくらいの、何でもない着こなしが絶妙なバランスです。一応、ブルーを軸にしてトーンをつなぐことは意識しているけど。
レイジ なるほど、上級者だね。僕は自作のシルクスクリーンプリントのアイテムが大量になってきて、部屋を埋め尽くしてます(笑)。
都築 シルクスクリーン…自作なの!?
レイジ 色も版も替えて重ね刷りしたりと工作みたいに熱中できて、その時間が単純に楽しいし、オリジナルの一点モノというのがうれしいんだよね。友人たちが手書きでペイントしたルイ・ヴィトンのデニムジャケット(上)にも、肩やレザーパッチにシルクスクリーンのプリントを入れました。中に着たリンガーTに描かれているのは、友達が自分をキャラクターとして描いてくれたものなんです。
都築 ハイブランドのアイテムまでいじっちゃうのが、服バカって感じだね。
レイジ 服はどんどん増える一方で、どうしてもヘビロテしちゃうモノもありますよね
都築 わかる。僕は70’sヴィンテージのデニム(上)。花柄を使ったリメイクは70’sのヴィンテージの定番のひとつで、ハッピーな雰囲気に気分がアガる。
レイジ 確かに、すごくかわいい。僕が便利で、最近よく着ているのはマルニとカーハートのコラボのパンツ(上)。4色使いだけど、ブラウンを軸にしているから意外と合わせやすい。ガシガシはけて、洗濯機で洗える気楽さもありがたい。
都築 いいね。僕もタフに使える服ばかり着るので、その気持ちわかります。靴は以前、僕が作ったダウンにも合わせてくれてたマルニですね。あのときのスタイリング、インスタにあげてくれてたので、僕も引用投稿しましたよ!
レイジ パンツもスニーカーもヘビロテ。今はストリートに寄せるのが気分なのでTTTMSWの刺繍入りスウェットに、マリーン・セルのインナーを入れました。
都築 胸もとの刺繍がいいね。僕のヴィンテージデニムにもクマのワッペンがついていて、そういうかわいげは大好き。ちなみに僕は、日常感を意識したスタイリング。褪せたスウェットでヴィンテージムードを堪能しつつ、さらりと仕上げました。お互いデザイン性が強いウエアが多いけど、レイジくんはスタイリングに悩むことってあります?
レイジ ないかな…。モノ単体としては変わっていたり派手に映ったとしても、あくまでスタイリング全体の一部として捉えると簡単になる。組み合わせようで中和できたり、いい足し算になったりするので。
都築 同意。僕もスタイリングをイメージしながら買い物をしていて…ちょっとこの話、詳しくしたいんで次回に持ち越していいですか?(笑)
— Profile —
都築拓紀さん
1997年、茨城県生まれ。お笑いトリオ「四千頭身」のボケ、ときどきツッコミ担当。生粋の服好きかつ古着通として知られ、今年の1月から自身のブランド「HIR
OKI TSUZUKI」もスタートした。
オカモトレイジさん
1991年、東京都生まれ。ロックバンド「OKAMOTO’S」でドラムを担当。バンド活動の傍らDJとしても活躍中。自身が主宰するイベント「YAGI EXHIBITION」ではオリジナルアイテムをデザインする。
Photos:Kyouhei Yamamoto Hair & Make-up:Taro Yoshida[W](for Mr.Okamoto) Yudai Makino[vierge](for Mr.Tsuzuki) Composition & Text:Takako Nagai
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