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名画座では作品案内を熱心に読み込み、銭湯ではペンキ絵を見ながらご主人との話に花を咲かせる。「ファッションは自分を好きになる後押しをしてくれるもの」と語る渡邊圭祐と、"カルチャーのある服"をテーマに撮影&インタビューを敢行した。
special interview
人ではなく、“自分が好きなスタイルを楽しむ”ということを大切にしています
――今回は「カルチャーのあるファッション」をテーマにしたシューティングでした。渡邊さんは音楽とファッションが好きだと伺っていますが、音楽や映画からインスピレーションを受けてコーディネートを組むことはありますか?
映画の影響を受けることはありますね。僕は90年代のアメリカ映画が好きなのですが、その時々の歴史の背景が反映されている洋服に惹かれます。例えば“このコートは拳銃が肩から落ちないようにエポーレットがついているのか!”とか、そういうところにロマンを感じます。最近は『トップガン』を観て、古着屋で50年代のフライトジャケットを購入しました。
――古着屋で服を買うことが多いそうですが、古着の魅力はなんだと思いますか?
昔は古着屋で働いていたこともあるんですよ。古着の魅力はずばり、“出会い”。ここでしか手に入らない、今買わなかったら次はどこでそのアイテムに出会えるかわからない、そんなワクワクさを楽しんでいる感じ。古着ってもともと誰かが着ていたものじゃないですか。だから洋服に前任者の癖が見えてくるんです。左ひざだけ擦れたパンツがあったら、“この人、左ひざを床につけて座る癖があったのかな”と、自分でストーリーをつくれるのがおもしろいですよね。そういう歴史を受け継げるのもすてきなことだと思います。僕は古着の中でもいわゆるヴィンテージ、80年代以前のものに惹かれることが多くて、いいアイテムに出会うたびにしみじみ、“やっぱり古着、好きだなー”と思います。
――服を買うときの基準はありますか?
気に入ったものは即決で買いますが、ちょっとでも引っかかることがあったら買わない。そこの決断はハッキリしていますね。僕は、ファッションは“自分のモチベーションを上げてくれるもの”だと思っています。だから人の目を気にするのではなく自分の直感を一番に重視して、“かっこいい、かわいい”と思ったものを買うようにしています。
それから、店舗に行くことも大切にしていますね。店舗での買い物ならではの“意外な出会い”を楽しみたいタイプなんです。先日ブラックのカーディガンを買いにお店に行ったとき、隣に置かれていたピンクのカーディガンをなんとなく着てみたら気に入ってしまって。普段は買わない色だけど、店員さんにもおすすめされてピンクのほうを買いました。そういった思いがけない洋服と出会えたときが楽しいんです。
――ファッションは“モチベーションを上げてくれる”とのことですが、何か大切にしているファッションアイテムはありますか?
上京するときに、働いていた古着屋の仲間たちからもらったブレスレットをずっと大事にしています。見ると元気が湧いてくるんです。そう思うと、洋服っていろいろな面で自分を助けてくれるものですよね。着るアイテム次第でなりたい自分になるための後押しをしてくれますし、仕事でも、役の衣装を着ると気持ちがつくりやすくなります。
――ファッションの他に銭湯も好きということで、今回は銭湯でのロケを敢行しました。銭湯の魅力は何でしょうか?
そもそもお風呂に入るのがとにかく好きなんです。地元・仙台にいるときは、友人との集合場所が銭湯ということもしばしば。大学時代に海外留学をしたとき、帰国した翌日に友人たちが“おかえり銭湯会”を開催してくれたことがあって。銭湯に入るとそういった思い出も蘇ってほっこりします。上京してきてからは昔ながらの銭湯にハマって、いろいろな土地の銭湯に入りに行きました。銭湯って基本的に、その近所に住んでいる人しか来ないじゃないですか。親子や仕事帰りのサラリーマンがいたり、ご近所さん同士が話していたり。その土地の情緒や人々の空気感を感じられるのが魅力です。
――最後に改めて、「カルチャーとファッション」のかけ合わせはいかがでしたか?
ものごとのバックボーンを知ることってすごく大事だなというのは前々から思っていて。“なんで自分はこの服が好きなんだろう”と考えたり、映画を観て“なんでこの場面でこの服を着ているんだろう”と興味を持つことは自分の引き出しを増やすし、ひいては将来を豊かにすることにもつながりますよね。そういった、興味を持つ入り口としてファッションを楽しめるのはすてきなこと! 服が好きっていいことだらけだなと、今日改めて思いました。
Keisuke Watanabe
1993年生まれ、宮城県出身。出演映画『わたしの幸せな結婚』が3月17日より公開。出演舞台『アンナ・カレーニナ』が3月19日まで東京・Bunkamuraシアターコクーンで、3月25日から27日まで大阪・森ノ宮ピロティホールにて上演中。
Model:Keisuke Watanabe Photos:Yuhki Yamamoto Hair&Make-up:Manami Kiuchi[Otie] Stylist:So Matsukawa
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