▼ WPの本文 ▼
おしゃれプロが本当に頼れる古着屋さんを紹介する新連載。第2回はストリートベースの私服がトレードマークの、スタイリスト高橋正典さんがナビゲート。半年ほど前にインスタグラムで見つけた吉祥寺のノーメンは、レアなアウトドアもの以外にもお宝が!?
若き店主がモードな視点で選ぶ
アウトドア&スポーツが面白い!
2020年12月に吉祥寺の雑居ビルにオープンしたノーメン。吉祥寺のソフツや下北沢のムーといった、個性的な古着店に影響を受けた若者ふたりが立ち上げた。「アウトドアやスポーツとモードをMIXしたスタイルが好き」という店主の嗜好が、そのまま商品構成にも反映されている。
吉祥寺駅から徒歩5分ほど。路地裏の古いマンションの3階というロケーションで、たどり着くまでにちょっとした探偵気分が味わえる。こぢんまりとした店内ながら、商品が整然と見やすくディスプレイされ、古いレコードや雑誌『STREET』、プロップとして並ぶジャンク類にもカルチャーの匂いが漂う。トタンの内装はDIYだとか。
店頭にメインで立つ木内慎治さんは26歳。高校時代にファッションに目覚めて、大学時代に古着屋通いにハマった、海外のデザイナーがアウトドアやスポーツをベースにしたデザインを数多く手がけることから、古着でアウトドアやスポーツものを掘るようになったのだそうだ。
大学時代からハイブランドのパンツにアウトドアのアウターを合わせるようなミックススタイルを実践していた木内さん。今も古着のアン クラインのレディースのコートにマリテ+フランソワ ジルボーのパンツというモード感のある着こなしに、ドイターのウエストバッグやビルケンシュトックのボストンといったアイテムでファッションの多様性を体現する。
90年代から2010年代のアウトドアやスポーツブランドを中心に、王道からマイナーなものまで幅広くセレクトする。アメリカ、ヨーロッパの古着がメインで、テイストの合うハイブランドもピックアップするのが、木内さんのこだわりだ。
2月の店内は冬物主体の商品構成。「冬場はスキーやスノーボードブランドの古着も、フッションとして着られるディテールのあるものをラインナップしています。ハイブランドは最近エンポリオ アルマーニやアルマーニ ジーンズが面白くて、アウターから小物まで幅広く買い付けました」ということで、木内さんにノーメンならではのアイテムを選んでもらった。
袖や裾のロゴテープが今っぽいプルオーバーは、90年代にスノーボードウエアでブレイクしたキラーループのスノボジャケット。「もともとはイタリアのスノボブランドで、後にベネトンに買収された経歴もありますが、2010年代に終了したようです。ロゴテープのあしらいにストリート感があって、今のファッションにもマッチします」(木内)。
スポーツ系ブランドで注目しているのは、ポロ スポーツの上位ラインとして1998年にデビューしたRLX。「2015年秋にポロ スポーツが復活して2016年の秋冬を最後に終了してしまったのですが、今見てもその洗練されたデザインには惚れ惚れします。いかにもテック系な素材や配色ですが、ラルフ ローレンらしい品があるんですよね」(木内)。
袖と胸のロゴパッチがラバー素材というのも2000年代のトレンドを反映している。RLXのXは「エクストリーム (Extreme)」を意味しており、当時の最先端の技術を取り入れつつ、ラルフ ローレンの世界観に落とし込んでいる。このアウターはY2Kのトレンドにもドンズバだ。
「オーシャンパシフィックのようなサーフブランドのスノーラインや冬アイテムも、デザイン、実用性とも優秀なものが多く集めています」(木内)と出してくれたのがこちら。トレンドのドライバーズニットのようなデザインで、ボアフリースというあったかアイテム。中に裏地が付いているから一枚でアウターとしても着られる。
背面には「Ocean Pacific Snow」という文字がロゴマークとともに刺しゅうで入っている。斑グレーにネイビー&ブルーの配色もさわやかで、冬のコーデに抜け感を添えてくれそうだ。
木内さんが洋服以外で力を入れているのが、アウトドアブランドのバッグ類。ドイツのドイターのようなマニアックな専門ブランドをセレクトしている。ドイターは世界で初めて、通気性を考慮した背面システムを開発した、アルピニストに評価されている本気ブランド。「街中であまり持っている人はいないのですが、古いものの中にはカラーリングが今っぽいものもあっておすすめです」(木内)。
ハイブランドカテゴリーで充実しているエンポリオ アルマーニからは、ジャージ風デザインのブルゾンを紹介してくれた。「デザインだけでなく、ボンディング素材を使用しているのもスポーティなポイントです。ベージュの色みやドッグイヤー風の襟もと、裾や袖のゴム仕様もモダンですよね」(木内)。
こちらもキルティングライナーで防寒着としての機能はばっちりだ。「スポーティなデザインが得意なアレキサンダー ワンや2000年代に勢いのあったコズミックワンダーも気になっていて、今後ピックアップしたいと思っています」(木内)。乞うご期待!
ちなみに店内に飾られ、インスタにも使用しているブルーのマスクは、アーティストの櫻井万里明さんに描いてもらったノーメンのオリジナルアイコン。このイラストに込めた思いは、お店の名前の由来も含めて、店頭でぜひ木内さんに聞いてみてほしい。
【後編】ではスタイリスト高橋正典さんが
気になったアイテムやコーディネートを紹介!
SHOP DATA
住所:東京都武蔵野市吉祥寺本町1-30-16 加藤ビル 305号室
TEL:なし
営業:13:00〜20:00 ※営業時間が変更になることもあるのでインスタグラムで要確認。
定休日:不定休
Instagram:@nomen_usedclothing
WEBサイト:https://nomen.official.ec/
Photos:Yumi Yamasaki
Composition & Text : Hisami Kotakemori
▲ WPの本文 ▲