▼ WPの本文 ▼
Naoyuki Yoda with Military Pants
依田直之のデイリーにはけるミリタリーパンツ
依田直之さんは去年アパレル業界を離れ、夢であったイラストレーターの道に進むことを選んだ。また、そのタイミングで埼玉県の嵐山に移住。自然に囲まれた一軒家でイラストの制作を行っている。そんな彼に今の気分に合った新作のミリタリーパンツを選んでもらい、私服とミックスしてスタイリングしてもらった。依田さんの自由な着こなしには、大人になったときの僕たちがファッションを楽しむヒントが隠されている。
CIOTA
体を動かすときは
心地いいベイカーパンツを
シオタのベイカーパンツをはいて、家のリノベーションを行う依田さん。こちらは毎シーズン人気を集める定番モデルで、スビンコットンを使ったムラのあるバックサテン地を使用。滑らかさと古着のような風合いを持ち、スタイリングにこなれ感をプラスしてくれる。ウォルマートのビビッドなネオンイエローTシャツをアクセントにしながら、LEのタイプライターシャツや、依田さんが友人と手がけるサングロウ フィールズのキャップといったネイビーのアイテムでまとめ、ちょっといなたいストリートスタイルにアップデートした。
「昔の実家を住居兼アトリエとして使っていて、時間のあるときに自分でリノベーションしています。木を切るなどの作業をするときはシワが寄っても気にならない服を着ることが多いです。シャツはタイプライターやオックスフォードなど、しっかりとした生地を選んだり、パンツは汚れても擦っても気にならない地厚のペインターパンツを好んではいたりしてます。ワイドなベイカーパンツは、タフなうえに動きやすいので、DIYにもフィットしますね」
パンツ¥29,700/シオタトウキョウ その他/本人私物
HERILL
腰を据えて絵を描きたいから
ダックカーゴ一択
自宅でキャンバスに向かう際に選んだのは、ヘリルの「ダックスプラッシュカーゴパンツ」。ブランドのアイコンともいえるビッグな2ポケット&シルエットが特徴。ヴィンテージのミリタリーパンツをモチーフに、ボリュームのあるウエストやダーツが他にはない大胆なラインを生み出している。さらにペイント加工が施された遊び心あふれた1本だ。ボトムにインパクトがあるぶん、トップスはシンプルに、ミディアムスポーツウェアの無地スウェットと、サングロウ フィールズのキャップを合わせた。絵を描く際に欠かせない、ステータスのヘッドホンもポイントに。
「目を引くペイント加工に対して、トップスはプレーンにしました。サイズも、パンツのドカッとしたシルエットに合わせて、身幅と着丈のあるビッグなシルエットのスウェットを選んで、上下のバランスをとっています。絵の具を使って絵を描くときは、床に座ったり、ひざをついたりして描くことが多いので、擦れても汚れても味になるダック地のワークパンツやチノパンをはきます。パソコンでデジタルのイラストを描くときは、デスクワークになるので上下ともにスウェットで快適さを最優先。長時間座り続けるので、限りなく寝間着に近いものがいいんです(笑)」
パンツ(ヘリル)¥60,500/にしのや その他/本人私物
Graphpaper
軽やかに仕上げられた
現代的なミリタリーパンツ
グラフペーパーの「ウールキュプラオーバーカーゴパンツ」は、「41カーキ」と「M65」の2つの要素をミックスしたデザインが新しい。さらにキュプラを混ぜたウールナイロン糸で仕立てており、現代的なミリタリーパンツになっている。極上の見た目&はき心地が最高だ。パンツのクリーンなベージュに合わせて、トップスはアプレッセのライトブルーのストライプオックスフォードシャツをチョイス。その他、ジョン エリオットのグレーTやビルケンシュトックのベージュのサンダルなど、淡い色でまとめて清涼感を意識した。
「行きつけのカフェの近くにある、屋外のベンチで仕事をすることも多いです。ずっと室内で描いていると、想像できるものに限界があるので、自然を見ながら手を動かしたり、PC作業をしたりしています。鳥の鳴き声、川のせせらぎや風の音がBGMとして心地よく、自然の音や空気がつねに入れ替わってくれるので、気分がリフレッシュできるんです。実はここ、お店のWi-Fiを使えて、コンセントも地中から出ていて便利(笑)。自然の中で作業する際の格好は、すがすがしい環境に合わせてきれいな淡い色で統一。さらっと肌になじむオックスフォードのシャツを合わせるのがいいですね」
パンツ¥41,800/グラフペーパー その他/本人私物
KAPTAIN SUNSHINE
ぬくもりを感じる
コーデュロイに包まれて
キャプテン サンシャインのコーデュロイパンツは、細畝(ほそうね)とふっくらしたシルエットが特徴。左足にのみポケットがある変形ミリタリーパンツは、特有の武骨さを排していてはきやすい。優しい光沢も、存在感をさりげなくアピール。ヴィンテージライクな風合いを持つパンツには、古着のワインレッドのバーシティジャケットが好相性だ。
「ここはよく散歩する下里というエリア。田んぼと川と林しかない緑に囲まれた一帯です。散歩の際は、スウェットにジーンズといったリラックスできる格好が多いですね。寒くなってくるとコーデュロイがはきたくなって、それに合わせて、古着のアウターを選んでみました。これはレショップの金子(恵治)さん、ヘリルの大島(裕幸)さん、ニートの西野(大士)さんが行うフリーマーケット『ウィークエンド』で手に入れたビッグシルエットのバーシティジャケットです。よく譲ってほしいと言われるのですが、すごく気に入っているのであげられません(笑)」
パンツ¥39,600/キャプテンサンシャイン その他/本人私物
環境に合わせてファッションも
しだいにそぎ落としていった
アパレル業界で働いてきたが、学生の頃にデザインを学んだ経験を生かし、去年にイラストレーターとして独立した依田さん。自然に囲まれた地元・埼玉の嵐山に戻り、好きな服を着ながら、多忙な毎日を過ごしている。32歳になった今のライフスタイルやファッションについて聞いた。
イラストレーターになろうと決意したきっかけは?
「海外の高校のアート学科に通っていたこともあって、ずっとイラストやグラフィックをライフワークにしていたんです。その後、アパレル業界に入ってからも、グッズを作ったり、ショーウィンドウにペイントをしたり、アートを絡めた仕事をさせてもらいました。いろいろな経験をさせてもらう中で、自分が“熱を持てるもの”って何だろうって考えたときに、『自分が描いた作品で世の中の人に喜んでもらいたい』ということを強く意識したんです。これは、働いた経験があったからこそ気づけたことなのかなと思っています。前に勤めていたレショップでは、『会社に残ったままやればいい』と言っていただいたのですが、一回離れてどこまで行けるかチャレンジの意味も込めて、フリーランスを選びました。絵を描くスペースを十分に確保できるので、ちょうど空いていた実家に去年戻ってきました」
地元でイラストレーターの活動を始めて、時間の使い方やライフスタイルに変化は?
「田舎にこもったら娯楽が少ないぶん、SNSばっかり見るかなと思っていたけど逆でした。SNSにあまり触れなくなって、そのぶんひとつひとつの行動に熱中できるようになったんです。SNSに使っていた時間が、純粋に絵を描くことに変わりました。また、過度な刺激がないから、本を読んだり外を歩いて自然を見たりしてインプットに集中できるし、テイストが異なる絵を描き分けたり、パソコンでグラフィックを制作したりスキルアップにも積極的に時間を使うようになりました。人とのコミュニケーションも、文字で済ませるのではなく、なるべく電話したり直接会ったりしています。ファッションも静かな環境に合わせて、いい意味でそぎ落としていきました。気に入ったパンツは、リメイクしながらボロボロになるまではいていこうと思っていて、汚れても色あせても持っています。あと、近所に染め屋さんがあって、紺や黒に染められるので、最後は染色するのもいいかなって。これから自分の一軍を、大切に着ていきたいですね」
30代になってあらためて似合うと思える服は?
「20代の頃は、ワイドシルエットでデザインがきいていて、カジュアルにもモードにもアレンジできるブランドが好きでした。30代になってからは、流行りのものより、昔からある形の変わらない、定番中の定番の服にシフトしていって。例えば、リーバイス®の501®やクラークスのワラビーなどを、ちゃんと着るという方向に変わっていきましたね。今は80年代や90年代の映画に出ていた俳優の格好が自分にはしっくりきていて、昔のメイド・イン・USAのアイテムを取り入れています」
今回、ミリタリーパンツを使ってスタイリングしていかがでしたか?
「ちょっと武骨な印象があったミリタリーパンツですが、実際はいてみると自分の服装にもなじみました。特徴であるサイドポケットもシンプルな着こなしに映えて、ポイントづくりに活躍してくれましたね。いわゆる古着のカーキのパンツと違って、クリーンな色味やシックな素材を使っていて、大人っぽく着られる。ヘリルやグラフペーパーのような大胆なワイドシルエットは、着こなしをリフレッシュするのにひと役買ってくれそう。人気ブランドが手がけるミリタリーパンツ、すごくいいですね!」
Profile
依田直之 Naoyuki Yoda
イラストレーター
高校時代を海外で過ごし、アートやグラフィックを学ぶ。帰国してからは服飾学校に通い、卒業後は再び海外へ渡航、のちにアパレル業界に入る。いくつかのセレクトショップでの勤務を経て、2021年に独立。フリーのイラストレーターとして活動し、現在は作品の制作や企業とのコラボレーションに取り組んでいる。Instagram:https://www.instagram.com/naoyuyoda/
【Shop List】
シオタトウキョウ MAIL:customerservice@ciota.jp
にしのや TEL:03-6434-0983
グラフペーパー TEL:03-6418-9402
キャプテンサンシャイン TEL:03-6277-2193
Photos:Shinsaku Yasujima Stylist:Masanori Takahashi
Interview & Text:Hisamoto Chikaraishi[S/T/D/Y]
▲ WPの本文 ▲