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ファッションを全力で楽しんだ10代、20代。そして、その先の世代のメンズノンノ読者たちはどのような服を選び、どのようなスタイルを楽しんでいるのか。新プロジェクト「大人たちのメンズノンノ」が始動!
CROSS TALK
年を重ねてファッションとの向き合い方や趣味嗜好、ライフステージが変わった、メンズノンノ世代よりちょっと先のフェーズにいる先輩たち。そんな彼らのリアルなファッション事情を聞くべく、20代の頃からメンズノンノによく登場している服好き4人に集まってもらい、座談会を開催!
PROFILE
中島和弥さん(31歳)
RUNOスタイリスト
南青山にあるヘアサロン「RUNO」の看板スタイリスト。18歳の頃に、メンズノンノのワールドスナップ特集のアンダー23日本代表のひとりとしてピックアップされたことも。独自の着こなしが人気でスナップ常連メンバーであった。
@nku_ka
MEN’S NON-NO
2018年2月号
田中 遥さん(31歳)
フリーランスPR
さまざまなブランドやプロダクトのプロモーション設計やコミュニケーションプロセスの構築、ビジュアルディレクションをメインに活動。広島の大学生の頃、メンズノンノの地方スナップコーナーに初めて登場。あまりの服マニアゆえに、前職のビームススタッフ時代も含めて、さまざまな企画で私服スタイルを紹介してきた。
@yotanaka1109
MEN’S NON-NO
2018年3月号
伏貫 諒さん(30歳)
三越伊勢丹 セールスプロモーション担当
三越伊勢丹にてディーター・ラムス展など、さまざまな人気企画を担当。現在はメディアプランニング等に携わる。かつて、通っていた大学近くでスナップをしていたメンズノンノがキャッチ! おしゃれな読者たちを集めた「MNFC(メンズノンノ・ファッションサークル)」のメンバーとしても活躍。学生の頃から、大人びたクリーンな装いが人気を集めた。
@ryo_fushinuki
MEN’S NON-NO
2017年2月号
松岡 歩さん(29歳)
三越伊勢丹 紳士担当
伊勢丹新宿店 メンズ館のコミュニケーションデザインを担当する。学生時代は4年制大学と並行して文化服装学院にも通っており、過去にデザイナーズブランドの輸入代理店での勤務経験もあるなど、ファッションへの造詣も深い。大学生になり上京したてで、メンズノンノのスナップ隊に声をかけられたのがきっかけ。その後、スナップをはじめさまざまなファッション企画に登場。
@ayumumatsuoka
MEN’S NON-NO
2019年5月号
最初はハイブランドに憧れて
古着ミックスからスタート!
──20代はどんな格好にハマっていたんですか?
中島
20代は〈ジュンヤ ワタナベ マン〉をよく着てたな。
松岡
スナップでよく見ていましたが、そのイメージありますね。
中島
ちょっと恥ずかしい…(笑)。今でもそうだけど、重ね着やアウトドアミックスが好きで。レイヤード病でしたね。
田中
どんな症状なの?(笑)
中島
ベスト・オン・ベストとか、シャツを絶対2枚着たりとか。ちょっとアレンジを加えたいなっていう欲が出てきちゃってた時代。プラスしていく考え方のファッションの楽しみ方ですね。
伏貫
僕は病にはならなかったけど、男子ならわかりますね。ブランドは〈ドリス ヴァン ノッテン〉が好きだったけど、当時たくさん買えるものでもなかったから、似た服を古着で探して買っていて。気をつけていたのは清潔感。あとは、アースカラーが好きなので、色合わせをワントーンやグラデーションにして着てたな。
田中
僕はファッションの入り口が、高校生のときから興味を持った古着。それから、当時の〈メゾン・マルタン・マルジェラ〉にたどり着いて、いわゆるモードの世界に触れてる途中に、アメリカントラッドの〈トム ブラウン〉や〈エンジニアド ガーメンツ〉にどっぷり。引き続き古着を買ってミックスはしてた。
伏貫
ひと目で服好きってわかったよなぁ。
田中
トラッドな装いが異常にカッコよく見えて、大学にタイドアップしてつんつるてんのスーツ着て行ってた。今考えると、やりすぎてたかな(笑)。
中島
そういう年齢だから(笑)。
田中
その頃メンズノンノでたまに出させてもらっていて、高価なアイテムとロープライスのアイテムをコーディネートするハイ&ロー企画で、〈プラダ〉と〈ユニクロ〉を合わせて、編集部から「安イケ服の天才」っていう称号をいただきまして。今でも友達にそう呼ばれる(笑)。
松岡
天才! 僕のファッションも古着からスタート。大学生のときにブランド古着を扱うショップで働く中で、幅広い年代の服を持っていたので、いろいろな時代感をミックスして取り入れてましたよ。〈コム デ ギャルソン〉などのドメスティックブランドの服も多かったな。やっぱりみんな古着は取り入れますよね?
中島
うん。今でもちょこちょこ抜けのひとつとして、どこかに入れてるかな。
伏貫
昔はスニーカーも古着で買ってた。新品の状態で履くのに抵抗があったから、最初からなじんで雰囲気が出てるものを選んでたんだよね。新品で全身をそろえると、「あ、ブランドの服、着てるな」と思われそうで…。“なじませる”ことを意識してたかも。
着る人の雰囲気を生かす
ベーシックなアイテムにシフト
──30歳になって、ファッション的に変化はありました?
松岡
最近はよりベーシックで普遍的な方向に行きたい。オンオフはほぼ変わらず、革靴とシャツを買うようになったかな。なかでも、白やサックスブルーなど定番色のレギュラーカラーが好き。
伏貫
うんうん。若いときって毎日違う服を着たかったけど、今は毎日着てもいいと思えるオーセンティックなアイテムに惹かれてる。それこそ、〈リーバイス®〉のデニムジャケットはあまのじゃくで着たことがなかったけど、やっぱり時代を経てもいいものと言われる理由があるなって。
田中
年をとってしっくりくる感覚ってあるよね。僕の場合はデニムパンツ。若いときは背伸びしたくて、スラックスをはいていて。それから、ヒゲを生やしてみたり、いい意味で老けてきたりすると、ちょっとヨレたものとかが似合うようになる。デニムパンツをはいてると「いいですね」って言われることが増えた。今日はそれぞれお気に入りのアイテムを持ってきてると思うけど、自分は〈クーキーズー〉というブランドのデニムパンツを持ってきていて。
中島
そのデニム、いいですね。
田中
ここにもいた(笑)。ありがとう。これはド定番という感じではなくて、ちょっと変なデザインなのだけれど、それくらいのバランスが今の自分にはしっくりくる。子ども服をそのまま大きくしてるデザインで、ボタンもベルトループもデカい。昔のマルジェラのドールコレクションに考え方が似てる。ステッチ幅もそれに合わせて太めに取られていたり、とにかくディテールがおもしろい。伏貫さんはどんなデニムジャケット?
伏貫
〈リーバイス®〉のフォースの古着。自分としては珍しくサイズ44を選んで、今の感覚でタイトな感じ。現行のものもいいけど、やっぱり色の落ち方は古着のほうが好き。そこは変わらないかな。
中島
なるほどね。松岡さんもオーセンティックなものが好きって言ってたけど、現行品だよね。
松岡
そうですね。気に入ってるのは、〈ドリス ヴァン ノッテン〉のシンプルなレギュラーカラーの白シャツ。ドレス寄りで、ウエストも少しシェイプされてるようなシルエット。
田中
ドリスの中で、あえて白シャツを選ぶところにぐっときた! 本当にこのブランドが好きな人だなって。
松岡
ありがとうございます(笑)。20代前半だと、年齢の若さとホワイトのクリーンさの爽やかな雰囲気が、すごくトゥーマッチな気がして着られなかったんです。年を重ねて、久しぶりに着たらしっくりきました。中島さんもシャツですね。
中島
〈ナイスネス〉の半袖の開衿シャツをヘビロテしてる。半袖の開衿シャツって今までまったく買ってこなくて。理由は、なんか周りの人に「カッコつけて調子乗ってる」って思われるかなって…。
田中
なんで!?(笑)
中島
完全にイメージ(笑)。大人っぽさが出てきた30歳になって、ようやくしっくりくるかなと探してたときに、ルックを見てひと目ぼれ。オンラインショップですぐに買った。似た色味のパンツを合わせてワントーンにして着てる。今年は他に、〈ジル サンダー〉のシャツを買った。合わせるアイテムをくずして、キャップをかぶったり、パンツの丈感を変えたり、きれいめになりすぎないように着てる。
田中
サファリシャツみたいでカッコいい。すごく使いやすそう。
中島
僕は田中さんと伏貫さんのデニムアイテム、好きです。自分は似合うのが少なくて…。はいてる人を見るとカッコいいと思うけど、お店に見に行くと「あの人がはいていたのはコレか? なんか自分には似合わない…」ってなる(笑)。
伏貫
慣れだと思います。ただ、人のデニム姿ってカッコよく見える。アイテムがベーシックだから、着てる人の雰囲気が際立つ気がする。同じデニムを着ていても人によってまったく印象が違うし。田中さんは雰囲気で合ってるからいいなって。
後編に続く
Photos:Kyouhei Yamamoto Text:Hisamoto Chikaraishi[S/T/D/Y]
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