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22歳の社会人1年生ながら、クラシックなスーツをビシッと着こなす洲村歩(すむらあゆむ)君。旺盛な好奇心と人懐こい性格で、世代を超えたコミュニティを築いている。服装はもちろんマインドもすてきな、歩君の世界をのぞき見!
洲村 歩さん
Ayumu Sumura
山口県宇部市の酒屋に生まれ、大学進学を機に上京、この春社会人に。たばこと酒をこよなく愛す。好きなアーティストは小沢健二。インスタのアカウントは@path_of_masuratakeo
きっかけは成人式のときに仕立てたスーツ
「当時は何の知識もなく仕立てたので、完成したスーツが自分のイメージしたものとは違っていて。それから日本人としてカッコよく見えるスーツを追求しはじめ、戦前の背広にたどり着きました。僕は身長も高くないし、スポーツをしていたから脚も太め。でも、戦前の日本の背広を着たときにスラリと見えて、とてもしっくりきたんです。背広が浸透しはじめた昭和初期の洋装は、欧米人とは違う日本人の体型に合うようにカスタムされていました。これがひとつの正解だと思って、昭和初期の背広を掘るようになりました」
一番お気に入りの背広は1930年代半ばの日本製。タイや帽子、シューズまでこだわって着こなす。「昭和初期の背広はウエストが絞られていて、ズボンは太めのストレート。このバランスがスマートに見えるポイントです。デニムなどとは異なり、ヴィンテージという概念がまだあまりないので、生地も仕立ても上質ですが、ネットで買いやすい値段で見つかるんですよ」
昭和クラシックに欠かせない帽子コレクション。「茶色のは昔の大丸のオリジナル。クラウンが垂直でブリムが狭めという戦前特有の形です。カンカン帽は40年代のアメリカ製でほぼ新品、黒のステットソンのヴィンテージはeBayでアメリカ人のコレクターから購入!」
インスタグラムには地元・山口の名店[「年越そば」の店は武蔵野 TEL:0836(31)9343]や東京、旅先での昭和を感じるスポットの写真、日々の歩君の着こなしを投稿。
グランドセイコーの前身モデルであるロードマーベルの1959年製の時計。「背面がふくらんだ、はまぐりケースが特徴です。ネットで買って専門店でオーバーホールしました。普段はスクエアケースのオメガを愛用しています」
早川金属工業研究所時代のシャープの真空管ラジオ。「ブルートゥースに接続して使えるように改良されています。昭和のモノクロ映画を観るときなどは、このラジオから音を出すとやさしい音色がマッチして雰囲気が出ます」
情報を足で稼ぐことで人とつながっていく
「フリマアプリで昭和のものを買うようになりましたが、戦前の背広はとにかく情報が少ない。ネットに限界を感じ古着屋さんや仕立て屋さんに通い、話をして知識を得るようになりました。足で情報を稼ぐと人と出会えるということがわかって、やめられなくなりましたね。昭和のものには作った人のぬくもりが残っている気がします。誰かが実際に使っていたことにも価値を感じる。いい背広を手に入れても、それを着てご飯を食べに行く相手がいないと僕は楽しくないし、僕が価値を感じるものは、結局全部“人”ありきなんですよね」
友人から譲り受けたテンプルに先セルのない1910~20年代の丸メガネ。「K18の東京製で桐紋(きりもん)や漢字で名前が刻印されています。かなり希少なものらしいです」
サスペンダーがまだ主流だった、1920年代のベルトバックル。「スナップ式のスポーティな仕様から、当時最新のスタイルだったと推測。今なお新鮮なデザイン」
富士東洋理髪店
歩君が通う代々木上原のレトロモダンな理髪店。「代表の阿部高大さんに髪を切ってもらい、いつも情報交換しています。阿部さんはメディアにも登場する昭和クラシックの先駆者で、最近は伊勢丹とコラボして当時のデザインを再現したワイシャツもプロデュースしました。今僕が着ているのがそれなんですが、細部まで本当によく作り込まれています」
富士東洋理髪店
住所:渋谷区大山町1の22 BlueLeaf大山町1F
TEL:03(6804)7238
Instagram:@fujioriental_barbershop
es Quality Clothing
アメリカの50’sを極める古着の有名店。「ヴィンテージネクタイの品ぞろえに定評があります。店主の會田倫正さん(中央)やスタッフの池田雅俊さん(左)はもちろん、伝説のイラストレーターとして尊敬されるマシンガンケリー(岡田哲)さんも時々店頭にいらっしゃって、皆さんにいろいろ教えてもらっています」。歩君が着ているキャメルのポロコートは、齢(よわい)74歳になる岡田さんから借りた憧れの名品。
es Quality Clothing
住所:渋谷区神宮前6の16の2・103
TEL:03(3797)0036
Instagram:@es_quality_clothing
Photos:Kenta Watanabe(portrait, location) Yoshio Kato(still) Composition & Text:Hisami Kotakemori
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