▼ WPの本文 ▼
この連載もついに50回を迎えた。様々な個性を持つリアルストリートの男子と向き合い続けてきたが、これからも変わりゆく街の中で"本当にカッコいいということとは?"を追求していきたい。記念すべき今回は、ハント場所を下北沢に変えてお届けする。個性的な若者が集う街で、その空気感に溶け込んだスタイルができあがっている小寺葉京さん(25歳・販売員)。その雰囲気は大事にしつつ、もっとめかし込むには…?
ついにこの連載も50回目。僕自身すごく勉強になるし、老けなくなったという感覚が大きい。常にストリートに密着して若い子と向き合ってきたおかげだ。ファッション業界には閉鎖的な部分もあり、僕も一般男子のヘアに興味を示してこなかった。それは美容師さんにお任せしていたから。普段は写真や映像の中でヘアをつくるからファンタジーの部分が大きいけれど、ストリートは当然リアル。いろんな子がいて表現も十人十色。“一番イケてる”が次々移り変わる。そんな多様な個性を持つ子たちを、クリエイターがブラッシュアップする面白さがみんなにも伝わっていればいいな。さて、今回はハントを下北沢で行った。駅前が様変わりして、今まで北と南で分かれていた出口がひとつになった。その広場にあらゆるカルチャーを持った子が集う、ミックス感たるや。そんななかでも輝いていた彼。古着屋で働き、バンド経験もあるという下北らしい背景を持ち、おしゃれなラフさも街に溶け込んでいる。こういう子がテイストはそのままにとびきりめかしたらどうだろう。
ちょっとキザな70 ’s が似合うのではと思い、サイドパートにして顔まわりをゆるく巻いた。無造作かつしっとりした質感でバンドマン然とした雰囲気も出た。余裕と色気があり、嫌みにならない。それは彼が実際音楽好きということもあるのか、古着に精通しているからか…コスプレ感なくしっかり似合う。カルチャーのある若者は手の入れがいがある。これからも面白い子に出会いたい。
ハサミを入れず、色気を生み出す
センターパートに飽きたら、サイドパートを試して。顔にいい感じの影がつき、アンニュイな表情が生まれる。70’s的なグランジの質感を意識しているが、これで前髪を立ち上げたら80’sっぽくもなる。ちょっとしたさじ加減でヘアは変わるからこそ、自分がカルチャーを持つことが大切だ。
[上写真]ユーズドのセットアップ¥59,800・ユーズドのシャツ¥26,800・ユーズドのネクタイ¥7,800/ヴェルヴェット その他/スタイリスト私物
Hair:KANADA[LAKE TAJO] Photos:Go Tanabe Stylist:Taichi Sumura
▲ WPの本文 ▲