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ヘアにおいて、シンプルに顔を出すことは自然体な潔さやポジティブさを人に与える。でもそのぶん、印象の幅が狭くなってしまうのも確か。目や顔のラインが見えそうで見えない前髪、という一見中途半端な仕上がりが、新たなニュアンスや色気を生むこともある。原宿で声をかけた日、沖縄から上京してきてまだ一週間だった花城雄さん(26歳・飲食業)。潔い『男前』なスタイルが目を引くが、印象の幅を増やすことと、ブラッシュアップにも期待したい。
我ながら今回はサロンスタイルっぽい仕上がりになったなと思う(笑)。トレンドに左右されずその人のカルチャーが感じられるもの、コンプレックスを隠して終わるのではなく、自己分析して似合うものを見つけることの大切さをこれまで推してきたけれど、今日のスタイルはいい意味で“中途半端”で、“匂わせ”のある感じ。もともとの潔いセンターパートも色気があっていい感じだけど、ちょっとコンサバすぎて印象の幅が狭くなるかなと思った。シンプルなスタイリングも、いわゆる“男らしい”という印象だけで終わってしまいそうでもったいない。彼の場合、ヘアに要素をもう少し加える“足し算”で、むしろ抜け感が出ると思った。僕は普段あまりやらないんだけど、フェイスラインや目もとが見え隠れする微妙なAラインを顔まわりにつくってみた。これで、フェミニンさと柔らかさ、それらが生み出す余裕が加わった。やっぱり前髪の印象は大きい。顔の隠れる面積が増えるから、ひとつ間違えるとネガティブな印象にもなるけれど、こうやって白黒つけないニュアンスを足すのにはいい方法だといえる。
とはいえマッシュベースにした全体のシルエットは、カット前よりも実は主張が強くなっている。こういうバランス感ってどこの時代にもなかったものだ。まるで70’sのアンニュイさと、80’sの主張の強いシルエットが融合したよう。そんな曖昧なミックスがいい感じに働くのも、たまにはいいね。
もちろん質感だって、あえての中途半端に
ドライでもウエットでもない。質感をはっきりさせないことで、このヘアの世界観にうまくマッチ。ざっと乾かした髪に、ほんの少しオイルをなじませるだけ。ちなみに、自然に仕上げるときも何もやらないのは論外!
[上写真]ニット(アリーズ)¥55,000/コンコード ショールーム シャツ(ニードルズ×ヴェルヴェット)¥32,000/ヴェルヴェット タンクトップ[2枚入り]¥1,800/ヘインズブランズ ジャパン カスタマーセンター ネックレス/本人私物
Hair:KANADA[LAKE TAJO] Photos:Go Tanabe Stylist:Masashi Sho
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