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圧倒的支持を得たトレンドヘアをやるとき、少しでも自分なりのこだわりやポリシー、あこがれのアイコンやモチーフがあるとぐっとカッコよさに深みが増す。逆に、流行っているからやりたくない、と斜に構える必要もない。いかに自分らしく取り込むか。それが一番大事。後藤留維さん(19歳・学生)は、ストリートで大多数の子が支持するオーソドックスなマッシュにしていた。スタイリストを目指す彼には、もう少しソリッドさがあってもいいかも…?
トレンドに左右されず、やりたいことを追求しようと提案しているからか「KANADAさんはアンチマッシュか!?」と思われていそうだけど、そんなことはない(笑)。たしかに一時期あまりにみんなやっていて食傷ぎみにはなったけれど、ブームも落ち着いてやるなら今かなと思う。今の子の好む“やってない感”や“抜け感”というのも決して悪くはない。そしてまだノーカルチャーだとしてもいい。これから好きなものを研究したり、失敗して学んでいくのだから。けれど、ストリートを面白くしているのは間違いなく自己主張のある子たちだ。だから大前提として周りがやっていないことを探してみるというチャレンジ精神は持っていてほしい。そこで今回は主張のあるマッシュスタイルを提案したくて、90年代に流行った『フェミ男』をモチーフにしてみた。
当時のいしだ壱成や武田真治がアイコンで、サイズの小さい服をまとったりと中性的な要素を取り入れつつも、男っぽいカッコよさに着地していた。今のジェンダーレスとも違う独特なスタイルだ。彼の元のスタイルは、マッシュをやっている大多数の人が美容室でこう仕上がるだろうな、というオーソドックスなものだ。その感じが前髪の中途半端な長さや“なんとなく”のシルエットになっているように思う。耳まわりをしっかり出し、衿足はタイトに。目の上ギリギリでスクエアにカットすることで、かなり意志の強さが出たのではと思う。既存の流行スタイルに命を吹き込むのは、こだわりを貪欲に追うこと、これに尽きるね。
デザインバングのストイックさが光る
90年代にヴィダルサスーンが一世を風靡したような、カットラインが強調されかなりデザインの入った前髪を"スーパージオメトリックバング"という。当時を知る人が聞いたら、懐かしくなること請け合いだが(笑)、今後シースルーバングに対抗してくるんじゃないかとにらんでいる。
Tシャツ(ジミーズ)¥7,800/古着屋 深緑 シャツ¥5,800/アンサムチル ネックレス(ヨハン シルバーマン)¥34,000/ティーニー ランチ パンツ/スタイリスト私物
Hair:KANADA[LAKE TAJO] Photos:Go Tanabe Stylist:Masashi Sho
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