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──"モードでジェンダーレスなラッパー"。この一見ミスマッチなワードに、作法やタブーを気にしない新時代のフラットな価値観を見いだす。自分の中のカルチャーを大事にしながらビジュアルは自由に。現代では、そんなバランスがストリートのカッコよさをリードしている――。今もっとも勢いのある若手ラッパーのひとり、HIYADAMさんは、ラッパーの既存イメージと一線を画す独特の存在感で、ファッション面での活躍にも期待が高まっている。KANADA氏の提案との化学反応はいかに?
ラッパーと聞いて僕世代が思い浮かぶのは、オールドスクールなスタイル。だからモードな雰囲気を持つヒヤダム君がラッパーだと聞いたときは、新世代だと思った。彼が若い世代に人気だということをまったく知らず「魅力的な子だな」と思い声をかけたけれど、ラッパーでありながら、ちょっとアンニュイでジェンダーレスなビジュアルを選択しているというコントラストが面白くて、彼を媒介に新しい男性観を提案できそうだという可能性を感じた。この連載でもたびたび言っているけれど、“こういうジャンルにいるからこんな格好をしなければいけない”という作法や固定観念を捨てて、カッコよかったら受け入れる、つまらなかったら吐き出すという、フラットな価値観が圧倒的に今っぽいカッコよさをつくると思う。それには見た目に左右されない絶対的なアイデンティティと、そこに裏打ちされた自由さが本人にないとできないわけで、髪型をはじめとするスタイルづくりというのは、結局自分を知るのが重要だということに尽きる。何より、ジャンルにとらわれずトライしている子は魅力的だよね。
だからこそ今回、彼がラッパーなのを踏まえ、更に一番遠い価値観のものをぶつけてみた。カラーは淡いペールトーンに、カットとスタイリングはエッジを忍ばせつつもクラシックかつナチュラルに…。本人に魅力と強さがあれば、こんなに消化・吸収できる。このスタイルでマイクをつかんでステージに立つって、なかなか痺れるじゃない?
色、カットともに新しさのある提案を
街で増えてきたのは"刈り上げ"と"カラー"。でも今までと少し違う。パッと見、前下がりのグラボブなのに中をかなり短くしたデザイン。アッシュとは違う、淡さのあるくすみ感が新鮮なペールトーン。どちらもトレンドに躍り出たら面白い。
シャツ(サルヴァトーレ ピッコロ)¥30,000/トゥモローランド その他/スタイリスト私物
Hair:KANADA[LAKE TAJO] Photos:Go Tanabe Stylist:Hidero Nakagane[S-14]
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