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──自分の理想とする"見た目"を完成させるのに必要なのは、何よりも、めざすジャンル、尊敬する人、近づきたいテイスト…それらをリスペクトする姿勢。「好き」という気持ちは、なりたい自分に近づく最強の動機。いかに取り込むか、時間をかけてとことん向き合おう。今回登場するのは、好きなものを自己表現していきたいという意志のある金田紫音さん。V系をファッションの観点から考えるのは初めて!
あらゆる時代に若者から支持を得たヘアのよさを振り返り、現代に落とし込む試みをしてきたけれど、90年代を彩った「V系」も避けては通れない。メンズノンノとの親和性を考えるとタブー視されるジャンルだろう。けれどここ最近、男子のメイクや、K-POPのように華やかなビジュアルのアーティストが注目を集める中において、取り上げる価値はある。紫音は実は僕の息子。読者世代だけど、90年代のV系が大好きで自分もバンドをやっている…だからそういうルックスになりたい。理由はそれで十分、これ以上にパワーのある動機はない。あとはどう洗練させるか考えるだけ。肝は、V系の独特の〝エグさ〟と今っぽさをどう調和させるか。右サイドはとことんソリッドに刈り上げたけど、全体のシルエットは丸みを持たせ、清潔感のあるきれいな前下がりのグラボブにしている。カラーもあえて沈ませたネイビーに。少しずつ抜けをつくりつつも、やはりやり切ったポイントもあったほうが絶対カッコいいと思い、今回は初めてメイクアップアーティストにも入ってもらった。
こうやっていろんなところを足し引きしていき、最終的にコーディネートをメンズノンノ読者になじみのあるようなクリーンなテイストで仕上げたら、ただの焼き直しではない、新鮮さのあるV系が完成した。こういうことをやってみろと言いたいんじゃない。選択肢として面白いなと思ってくれたらいい。好きなものを自分自身で大事にすることがカッコよさを極めるんだ。
現代版のV系に足したい、少しの余裕
一度のセットにハードスプレーを丸々使い切るくらい、ガチガチに固めたヘアが多かった90年代のV系ヘア。今回はあえてシースルーバングを作り、自然に落とした。ヘアの質感もテクスチャーのないナチュラルな仕上がりに。この抜けが、今っぽさのスパイス!
ジャケット(バズリクソンズ)¥48,000/東洋エンタープライズ ニット(ジョン スメドレー)¥29,000/リーミルズ エージェンシー その他/スタイリスト私物
Hair:KANADA[LAKE TAJO] Make-up:UDA[mekashi project] Photos:Go Tanabe Stylist:Hidero Nakagane[S-14]
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