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「ノーカルチャーなだけでなく、自己主張や承認欲求もない、なのに何か魅力があってカッコいいという正体不明の若者が増えている。こだわりのなさに心地よい余裕を見いだすのもいいけど、自分のスタイルをつくる面白さを知って大人になってもいいかも」とKANADA氏。ということで今回は、“デザインヘア”!
小名奏太朗(おなそうたろう)さん(19歳・学生)
キャラを読み切れないカッコよさが、原宿という街で逆に目立っていた小名君。ガラッと変わった意思のあるヘアを提案。
原宿はいかんせん、おしゃれを頑張っている子が多い。そんな中で小名君が目を引いたのは、彼がこの街に勉強をしに来ていたからかもしれない。髪はいい感じのノーセットで、Guns N’ RosesのロックT。カッコいいけど、別におしゃれさをアピールしている感じではない。案の定「この辺はなじみのスタバがいくつかあって…」という理由で来ていただけだし、ガンズを知らずにTシャツを着ていた。聞けばヘアへのこだわりも特になく、人からこう見られたいという欲求もないようだ。パーソナルの見えにくさ含め、なんかカッコいい、という極めて今っぽい子だと思う。彼のような曖昧な魅力の子は増えている。いわゆるSNS世代の更に次のニューエイジがきているなと感じる。そうなるとクリエイターとしては、“しっかりデザインした意思のあるスタイル”の面白さもあるよ、と伝えたくなるよね(笑)。むしろそういうものじゃないと、このある種の無頓着さには太刀打ちできない気がしている。じゃあ、デザインヘアにするとどんないいことがあるか。まず着地への意思や意図がハッキリするから、キャラクターに深みが増す。それを自分のものにできたら、これまでと同じように特段自己主張しなくても、パーソナルを少し理解してもらえる。なんとなくおしゃれだな、から一歩先の魅力的だな、という人になるためにはどこかでそのままではいられなくなるはず。とことん自分をつくり込む経験を、一度くらいして大人になってもいい。
カットはしっかり、セットはやりすぎない小粋なデザインヘア
一番のポイントは目の上ギリギリのエッジィな前髪。なんとなくカッコいいなんて言わせない意思が宿った。ウルフだけだと音楽の匂いがするし、前髪はサブカル感が強い。本人にない要素のため、顔まわりにシャギーを入れたボブベースで中和した。セットは軽く、がいいバランス。
KANADA PROFILE/メンズノンノ本誌はもちろん、数々の広告やショーで活躍するヘアアーティスト。俳優やタレントからの信頼も厚い。ヘアそのものだけでなく、コーディネートとのバランスも考えたトータルでのプロデュースを得意とする。
Hair:KANADA[LAKE TAJO] Photos:Go Tanabe Stylist:Tomohiko Sawasaki[S-14]
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