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デザインのきいたカットスタイルは、本人に確固たるコンセプトや意思がないと、ファッションのじゃまをしたり、本人の印象の幅が制限されたりとノイズになりうる。どんなカルチャーにも属さないような、曖昧なスタイルが最高にカッコイイこともある!
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大下翔生さん(22歳・飲食店勤務)
KANADA氏がスタイリストの推薦で出会った彼。わかりやすいスタイルがあるわけではないのに、何とも言えないしゃれ感が。

ノイズがないっていうのは、カルチャーがあるのと同じくらい魅力的。大下君は、「こだわりがあるわけではないので、どんな髪型にしてくれてもいいですよ」というタイプ。だけど無頓着なわけではなくて、何かのジャンルにとらわれずに自分の似合うものを探している、奥行きのある子だなと思った。物静かだけど雰囲気があって、“温度のない”スタイルが似合う、すごく今っぽいタイプだ。そこでまず、ビジュアル的に今の彼に合わないかなと思ったのが衿足。本人のフラットなキャラクターに反して、何かカルチャーや前のめりな意図、主張があるのではと思ってしまう。けれどそうではないから、ノイズになってしまっている感じ。衿足を生かしてもう少しジャンルレスなウルフにするか、完全に取るかの二択だったけれど、僕は取ってしまおうと思った。重くもなく軽くもない、ラフすぎずキメすぎずのレイヤーボブにして、バームでニュートラルな質感を出した。ミュージシャンでもファッションピープルでもなければ、サブカル系でもストリート系でもないし、モードっていうことでもない。好きなものが何なのかつかみ切れないこの曖昧な男性観が、最高にしゃれているし、彼にとても似合っていると思う。逆をいえば、どうとでも見えるし、何にでもなれるから、ファッションの幅は実は広がっている。「曖昧」ってネガティブに聞こえることもあるが、憧れのモチーフがしっかりあるわけではないなら、積極的に選んでいい。
つくり込んだ感の薄いローレイヤーが新鮮
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オーソドックスなセンターパートのボブ。エッジのきいた印象ではなく、フラットな雰囲気にするべくローレイヤーに。毛先やシルエットも整えすぎず、バームでいい意味でのバサッと感をキープしたい。手数が少ないように見せるのが肝だ。
KANADA PROFILE/メンズノンノ本誌はもちろん、数々の広告やショーで活躍するヘアアーティスト。俳優やタレントからの信頼も厚い。ヘアそのものだけでなく、コーディネートとのバランスも考えたトータルでのプロデュースを得意とする。
Hair:KANADA[LAKE TAJO] Photos:Go Tanabe Stylist:Tomohiko Sawasaki[S-14]
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