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「簡単にさまざまな情報にアクセスできる現代において、若い子の成熟度はどんどん上がっている」と話すKANADA氏。だけど、いい意味で年相応に、背伸びしすぎず、余裕のあるカッコよさを見つけていくのも現代的なアプローチではと考える。
星野匠音さん(14歳・学生)は、服と成田凌が好きな中学生。髪は普段千円カットだが“背伸びしすぎず等身大”の範囲内でモダンにブラッシュアップしたい。
昭和生まれの僕の感覚では、今の14歳は自己プレゼンの力が昔の17歳くらいではと思う。おそらく情報量が桁違いなのだ。スマホひとつで世界中からあらゆるものをリアルタイムで収集できるし、人目にさらされたり他人を評価したりするような体験を早いうちにせざるをえないからだろうか。ただし、何が本当にカッコいいのかというところには到達しておらず、自尊心や自己顕示欲が強く芽生えている子も少ない。だからどんなに大人びて見えても、何にでもなれる可能性はまだまだ無限大だ…選択肢が多くて逆に大変そうだなと思ったりもするけれど。星野君も大人びた雰囲気を持ってはいるが、あくまで中身はまだ原石。プロの手で「ほら、14歳なのにこんなに変身してすごいでしょ」という写真を撮ることはできるが、あくまで彼に寄り添いリアルな範疇で「モダンな令和男子像」を探りたかった。
Beforeを否定して本人から離れたものを強引につくるのは、この連載の美学にも反する。今っぽさの軸になる“無理に頑張らない感”や“気取らなさ”を意識して、本人が自分でギリギリスタイリングできそうな仕上がりをめざした。男前になることへのモチベーションよりも、その人の佇まいが素直に出ていることがモダンさには重要だ。前のめりでカッコよさをめざした昭和や、何かモチーフとなるキャラクターがいた平成とも違う。この時代に青春を送る子たちの“本人のままでイケてる”スタイルを探るというのは、新時代だなとつくづく感じている。
無理にキャラ立ちしないカッコよさ
あまりに年相応から外れるとそれはもう大人のエゴが詰まった"作品"。彼がこの後学校に行くのを想像し、オーソドックスなのにほのかにカッコいいというところをめざした。手ぐしでつくったような曖昧なセットにウエットでもドライでもない質感。"普通、でもあか抜けてる"ってとびきりモダンだ。
KANADA PROFILE/メンズノンノ本誌はもちろん数々の広告やショーで活躍するヘアアーティスト。俳優やタレントからの信頼も厚い。ヘアそのものだけでなくコーディネートとのバランスも考えたトータルでのプロデュースを得意とする。
[上写真]ジャケット¥42,000・ブルゾン¥38,500(ともにウィリー チャヴァリア)/ジェットン ショールーム シャツ¥20,000/ラッド ミュージシャン 原宿
Hair:KANADA[LAKE TAJO] Photos:Go Tanabe Stylist:Taichi Sumura
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