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いい美容師と巡り合い、カルチャーの探求も楽しんでいる人は、自分のスタイルがかなり確立していることが多い。とことん追求して「本物」になっていくのはすばらしいけど、ちょっと違う要素を入れて幅を持たせるのも面白い。そういう余白が出てからが、スタイル探しは面白い。
西田アツヒコさん(28歳・俳優)
この連載を初期からずっと読んでいるという西田さん。すでに完成されているヘアスタイルに、どう新しい風を吹き込むか。
お気に入りの美容室を見つけ通っている西田君。信頼できる美容師に出会ったそうだ。クセ毛に悩んでストレートパーマをかけに行ったけれど、その美容師に「70’sのテイストが似合うのでは」と提案されて、コンプレックスを隠すのではなく、生かすことに目覚めたらしい。サロンで30分くらい考える時間をもらったというから、よくお客さんと向き合っている美容室だなと感心する。下北沢や表参道に立ってみると、センターパートにしている子が7割強はいる印象。僕の個人的な予感だと、これは一時期のマッシュブームより長く続く気がしている。マッシュより個性もカルチャー感も薄めで、プレーンだからね。だからそんな中で、西田君みたく70’sにしている子は本当に新鮮。でもこれはいつも感じることなんだけど、70’sをやっている人って、ハードな着地というか、「ザ・70’s」っていうシンボリックでわかりやすいスタイルになることが多い。それはきちんとカルチャーを勉強しているからだろうし、西田君もいろいろ研究して自分のものにしているからすばらしいことではあると思う。
でもせっかく現代でやるなら、他の要素をミックスしても面白いと思うんだ。例えばそう、70’sだけどクリーンなテイスト、とかも悪くない。だから今回は、彼のもともとのとことんマニアックなベースに、柔らかさと上品さを加えて角のない丸いフォルムに仕上げてみた。極めた後の引き算やマッシュアップで、また新しい楽しみ方ができる。
ロック要素を薄めた、クラシックな70’s
フランスの老舗美容室の有名な技術からヒントを得た、すべての角を取り、丸くするというカットなんだけど、今回はそれをやってみた。デザイン性のあるヘアほど角があり、僕も普段は残すようにしている。丸みのあるクラシカルさが加わり、ベタな70’sとは少し違うニュアンスが生まれたと思う。
KANADA PROFILE/メンズノンノ本誌はもちろん、数々の広告やショーで活躍するヘアアーティスト。俳優やタレントからの信頼も厚い。ヘアそのものだけでなく、コーディネートとのバランスも考えたトータルでのプロデュースを得意とする。
Hair:KANADA[LAKE TAJO] Photos:Go Tanabe Stylist:Atsuo Izumi
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